増えるアニメ作品、「新規参入組」が狙う秘策 プレイヤーが増加中、優勝劣敗も見え始めた

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アニメ広告は、制作会社にとってもメリットがある。通常、制作会社はいくつかのチームに分かれ、チームごとにテレビアニメを担当したり、劇場版アニメを担当したりする。その仕事が終了後、必ずしもすぐに次の仕事に移行できるわけではない。アニメ広告なら、こうした隙間時間を有効に使うことができるわけだ。

新規参入者が相次ぐアニメ業界。しかし、共通した課題がある。「アニメ制作会社をうまくブッキングできない」(関係者)ことだ。

業界が抱える構造的な課題

アニメの制作分数は大幅に増加している。2018年、アニメ業界では制作分数にして13万0808分ものアニメが制作された。これらの数字にはネットフリックスなど配信事業向けのアニメの制作分数は加算されていない。そうしたことも考えると、その後もアニメ制作分数は増え続けていると考えられる。

実際、有力制作会社の幹部は「地上波だけでなく動画配信のオリジナル作品も増えており、制作本数は増えた」と話す。別の制作会社社員も「依頼は間違いなく増えている」と言う。新規参入が増える中で、制作会社の”奪い合い”が発生しているようだ。

しかしアニメ制作の現場において、クリエイターの数が大幅に増加したなどの事実はない。そのため「一定のレベルに達していないクリエイターが制作に携わっているケースが多くある」(アニメ業界に詳しい関係者)。今後は質を伴わない作品が増える可能性がある。

ゲーム化などの収益機会が拡大する一方で、制作現場という業界の共通基盤は脆弱なままだ。「一部の新規参入組は成果がまったく残せていない。失敗した企業が明らかに見え始める頃」(有力制作会社幹部)。目先の収益を追うだけでなく、制作会社とともに発展するという中長期的な発想がなければ、新規参入ブームは一過性のものに終わるだろう。

井上 昌也 東洋経済 記者

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いのうえ まさや / Masaya Inoue

慶應義塾大学法学部政治学科卒業、同大メディア・コミュニケーション研究所修了。2019年東洋経済新報社に入社。現在はテレビ業界や動画配信、エンタメなどを担当。趣味は演劇鑑賞、スポーツ観戦。

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