少年ジャンプが転機「漫画海外進出」の難しさ

90年代に入りようやく現地で普及し始めた

『ONE PIECE』や『NARUTO』など、多くの国と地域の書店で販売されている(写真:Alamy/アフロ)
世界に誇る日本のサブカルチャーの代名詞の1つともいえるのがマンガだ。だが海外進出、特にアメリカで広まるまでには数々の紆余曲折があった。澤村修治著『日本マンガ全史ー「鳥獣戯画」から「鬼滅の刃」までー』の一部を抜粋・再構成し、ジャパニーズマンガの歴史を紐解いていきたい。

アメリカにおいて日本のマンガを紹介する動き自体は、アニメのそれとほぼ同時に起きている。テレビアニメ『ASTRO BOY』(鉄腕アトム)が全米で放送され人気を得てまもなくの1965年、マンガ本『ASTRO BOY』がゴールドキーコミックスから出版されているからだ。しかしこれは、オリジナルとはかけ離れた改作ものであった。

一方、原作がそのまま使用され刊行に至ったのは、中沢啓治『はだしのゲン』がはじまりとされ、1970年代後半に結成された平和運動団体によるボランティア翻訳版『GEN OF HIROSHIMA』がそれにあたる。

アメリカは書籍流通の仕組みが日本とは違う。日本ではトーハンや日販などの大手取次が、出版社から全国の書店へと、本の流通を一手に取り仕切っている。製作側の出版社はマンガ本を含めて、雑誌も書籍もそこに任せればよい。

書籍流通の仕組みの複雑さが壁となった

これに対して、アメリカはより複雑である。国土が大きいせいもあり、日本と同じような取次業者も仲介システムも存在していない。出版物の種類ごとに専門の取次がおり、あるいは、出版社の刊行予定書のカタログを持って小売店に営業するセールスマンがいる。

それらが得意の地域・分野ごとに流通チャンネルを形成しており、出版社は複雑な委託のなかで事業を進めなければならない。なお、マンガ本はコミックショップへのダイレクト市場があり、主としてそこで販売展開されていた。

アニメが「冬の時代」で低調になったうえに、翻訳の難しさ(後述)や流通の複雑さが壁となり、マンガの進出もまた滞る時代が続いた。英語教育を目的に日本人向けに出版された英訳マンガはあったが、商業的に存在感を示すものではなかった。それでもアニメ同様、少数の日本マンガファン層は形成されてきたのである。

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