つなぐ信金、支える信組、地域金融機関の奮闘 広域のビジネスマッチングから芸者ローンまで

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新型コロナ感染防止の観点から、国や東京都から目の敵のようにされてきた “夜の街”。その代表格のひとつが銀座だ。高度成長期やバブル時に比べると利用客は減っているものの、成功したビジネスマンたちが集う場として、そして接待の場としてにぎわっていた。ところが新型コロナが拡大した4月以降、街のきらびやかなネオンは一斉に消え、人影がなくなった。

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「クラブ稲葉」のママで、日本料理店など4店舗を経営する白坂亜紀さんも休業を余儀なくされた。それまでの月の売り上げは2500万円ほど。しかし、賃料や人件費など固定費だけで月に2000万円超かかっていた。幸い賃料は、入居時に支払った10カ月分の保証金でなんとか賄えたものの、問題は従業員に支払う給料だった。

解雇に踏み切るクラブも少なくなかったが、白坂さんにその選択肢はなかった。というのも今年3月末、激励にかけつけた第一勧業信用組合の新田信行会長(当時は理事長)に「お金は貸すから資金繰りの心配はしないで。頑張ってコロナを乗り切ろう」という言葉をかけてもらっていたからだ。

「あの言葉で、私は従業員の首を切ることなく資金繰りの計画を練ることができた。まったく先が見えないとき、あんなに心強い言葉ってなかった」(白坂さん)

「金を作るなんて朝飯前でしょう」

実は、白坂さんには金融機関との取引について忘れられない出来事がある。

1990年代から2000年代初頭のいわゆるITバブルの頃、ある経済誌で、「中小企業の社長さんを助けます」という大手銀行の融資商品に関する記事を見つけた。実際に銀行を回ってみると、本当にどこの銀行も無担保で貸してくれて計1億円を調達、新たな店舗を構えることができた。

女社長、しかも水商売という商売柄、融資を何度申し込んでも断られ続けた経験を持つ白坂さんは「時代が変わったんだ」と喜んだという。

だが2008年にリーマンショックが起きると事態は一変。それまで「貸します、貸します」と言ってきた銀行が次々に手のひらを返し「返せ、返せ」の大合唱となった。いわゆる「貸し剥がし」だ。

白坂さんは我慢できず「うそ! あのとき、何度でも貸すからって言っていたじゃないですか」と銀行の担当者に食ってかかった。そのときに返ってきた言葉を、白坂さんは今でも鮮明に覚えている。

「いいですか、20歳の女の子に『君のことを愛している、大好きだよ』と言ったことはあったかもしれない。でもその子が40歳を過ぎ、もうとっくに気持ちは離れているのに『あのとき、愛してるって言ったじゃない』と言われても困るんですよ、わかりますか?」

また、「銀座のママなんだから、男を騙して金を作るなんて朝飯前でしょう」と言ってのけた銀行員までいた。

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