つなぐ信金、支える信組、地域金融機関の奮闘 広域のビジネスマッチングから芸者ローンまで

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7月3日に城南信用金庫が開催した商談会。ウェブ会議でさまざまな企業が商談をしていた(記者撮影)

新型コロナウイルスが猛威を振るい、緊急事態宣言に伴う外出自粛などの影響で、さまざまな業種の企業が大きなダメージを受け、資金繰りに窮している。銀行も無担保無利子融資をはじめとする支援に乗り出すが、小さな事業者や個人はどうしてもその網からこぼれ落ちてしまう。そこで、気を吐いているのが地域金融機関の信用金庫や信用組合だ。

7月3日、東京・羽田空港に隣接する羽田イノベーションシティに開設された「よい仕事おこしプラザ」では、新型コロナで商売が滞った中小企業などが参加する商談会が開かれていた。遠方からの参加者もWEB会議システムを使ったオンライン商談ができる仕組みも整えられていた。

ブースの1つをのぞくと、奈良市で地域産品の開発や販売を手がけるチアフルの松本梓社長が、奈良県産の薬草から作った入浴剤やアロマ石鹸の特徴をオンライン上で必死に説明していた。商談相手は大手百貨店、三越伊勢丹のバイヤー。松本社長の話を真剣な表情で聞いた上で、「品物はとてもいい。配送の面でいくつか気になる点がありますが、具体的なことは今後詰めていきましょう」と前向きな反応を見せていた。

移動コストがなく感染リスクも遮断

チアフルの松本社長に「東京で、オンラインでも参加できる商談会があるから商材を紹介してみませんか」と提案したのは、日頃から取引のある奈良中央信用金庫だった。コロナ禍で百貨店や雑貨店向けに卸す商材の売り上げが落ち込み、販路を拡大したいと考えていた松本代表にとって提案は渡りに船。すぐに参加を決めた。

「東京の大手百貨店と商談をするのは今回が初めて。顔を見合わせて話をしなければ進まない商談は多いが、移動すればお金がかかるし感染リスクもつきまとう。信用金庫が持つネットワークのおかげでいい機会が得られた」と松本社長は語る。

今回の商談会を主催したのは東京・品川区に本店を構える城南信用金庫。全国250の信用金庫が加盟、中小・零細企業のビジネスマッチングを行うプラットフォーム「よい仕事おこしネットワーク」を使って実施した。このネットワークを使えば、地方の中小・零細企業でも、遠隔地の企業や大手企業ともビジネスができる。特にコロナ禍で地方の需要は一気に消失、地方企業は苦境に陥っており、その打開策として使ってもらおうというわけだ。

この日の商談会は42社が参加。「今後も引き続き開催し、復活の足掛かりにしてほしい」と城南信金の担当者は語る。

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