会社員が主張していい「ワガママ」正しい境界線

コロナで劇変する、会社員の「常識・非常識」

青野:自分が欲しいものを言語化するというのはやはり難しくて、新入社員は、自分がどういう仕事をするのか具体的にイメージできないから、配属先が決められない。はっきり見えているのはエンジニア志望のような少数派です。

子どもでもそういうところがあって、あのオモチャが欲しいとわがままを言って買ってもらって、実際に遊んでみたらぜんぜん面白くない。そういうことを繰り返して、本当に自分が欲しいものは何かということを学んでいく。

要するに、大事なのは「自分は何が欲しいんだろう?」という問いを立て続けること。答えは時期によって変わりますから。最初は人事部門に入ってみた。これは面白い。でも、こんなことが新しくやりたくなってきた。人間ですからそうしたことが必ず起きます。だから問い続けることが大事なんです。

会社は人間が幸せになるためのシステム

ピョートル:そして、わがままを問うときに大事なのは倫理観ですよね。しっかり自己認識と状況の認識をしないと、ちゃんと欲しいものを選択できない。

企業もそうです。例えば、株価至上主義の問題。マーケットで高くトレーディングされるためには、オープンイノベーションをやらないといけないとか、SDGs(持続可能な開発目標)をやらないといけないとか、話が逆ですよね。あくまでも先にあるのは、その会社が何の価値をつくって、それが社会のどんな問題を解決するのかということ。まず本質的な問題を見極めて、その問いに答えるというのが企業の目的のはずです。

それに反することをやってはいけないというのが、個人にも組織にも共通する倫理観でしょう。株価がビジネスの目的になってしまったら、すごく寂しい世界になってしまいます。

青野:コロナの影響で、小学校や幼稚園、保育園が閉まってしまいました。当社でも、小さな子どもの世話をしながら在宅勤務をするメンバーは、なかなかパフォーマンスを発揮できないので、ストレスを感じていたわけです。そういう声が上がってきたので、すぐに「人事評価を気にしないで、パフォーマンスを下げていい」というアナウンスをしました。

「救われました」というフィードバックをもらいましたが、人生、わがままに生きろと言われても全部が手に入るわけではないですよね。何かしら優先度を決めて、しょうがないと諦めないといけないケースがあるわけです。子どもと仕事だったら、子どものほうが大事に決まっています。こうした優先度を、ビジネスパーソンも企業も間違えてはいけないと思います。

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ピョートル:とても大事なことですよね。例えば、環境破壊とか生産プロセスでどんな損害が起きているのかということをちゃんと考えないと、倫理観がないと思うんですね。やはり自分のわがままの根拠と自分のわがままの副効果をちゃんと考えてから、建設的に実現すべきでしょう。

青野:企業理念のもっと上位に、本当は、もっと大きな概念があります。人類はなぜ企業をつくったのか、企業は何のためにあるのかという「そもそも論」です。

僕は、株式会社とか法人といったシステムは人間が幸せになるためにつくったものだと思っています。企業は、僕たちがもっと楽しい人生を歩むためにある。だから、どんな崇高な企業理念を掲げていようが、その会社で働いていて不幸を感じるのなら、そもそも会社としておかしいわけです。

人間の幸福よりも企業理念が優先されることがあってはなりません。例えば、子育てを軽んじてしまったら、人類は滅亡してしまう。企業理念ごときが子育てよりも優先されるはずがないんです。ウィズコロナになって、こうした優先順位をしっかり示していくことがますます大事になっていると思いますね。

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