アメリカ人落胆「都市封鎖は無意味だったのか」 中途半端な経済再開で感染者増止まらず
確かに検査と接触者の追跡は増加したが、十分だったとはいいがたい。野心的な計画を進めていた州ですら感染経路の特定に苦労している。例えばマサチューセッツ州は追跡プログラムでアメリカの先頭を走っているが、電話で連絡のとれた感染者は5月時点で全体の60%にとどまっていた、と同州の保健担当者は話している。
まさしくアメリカがロックダウンを続けなければならない状況で、多くの州(共和党の知事が大半)がブレーキを緩め、トランプ氏はこれを褒めそやした。
ほとんどの州が再開基準を満たしていなかった
5月上旬、半数以上の州が経済の一部再開に着手したとき、ほとんどの州が経済・社会活動の再開基準を満たしていなかった。トランプ政権が自ら示した基準すら守られることなく、再開が推し進められたのである。
ホワイトハウスのロックダウン解除基準に法的な拘束力はないが、そこでは確認感染者数、検査での陽性率のいずれかが「下降線」をたどっていることとされた。
ところが、経済活動の再開に動いた州の多くは、この曖昧な基準にすら従おうとしなかった。これらの州では感染者数、陽性率が上昇傾向にあり、保健衛生の専門家は懸念を強めていた。
コロナは強力なウイルスだ。各国が治療法を探そうと躍起になっているが、まだ目立った成果はない。夏になって気温が上昇しても沈静化の兆しはなく、政府の対応の隙を突いては被害を広げている。ウイルスの封じ込めに成功したとみられていた国も例外ではない。
アメリカで恐るべき現実が浮かび上がったのは6月下旬。ニューヨーク州など一部の州で感染がようやく落ち着きを見せたかと思うと、今度はほかの州で感染が再び急拡大し始めた。生命と生活を脅かす、恐怖の第2幕が始まったように見える。
6月26日現在、29の州で新規感染が増加し、南部と西部では大半の州で今後の見通しも厳しさを増している。
フロリダ州では27日、新たに9500人の感染者が確認され、新規感染は2日連続で過去最多を更新した。ネバダ州では新たに980人以上の感染が見つかり、1日当たりの新規感染者数としては、これまでの最多記録の2倍を超す水準となっている。さらにサウスカロライナ州の新規感染者数は1600人以上となり、前日に更新したばかりの最高記録を300人近くも上回った。