アメリカ人落胆「都市封鎖は無意味だったのか」 中途半端な経済再開で感染者増止まらず
カリフォルニア州で感染が拡大したのを見れば、積極的な対策を講じた州ですら、必ずしも感染をコントロールできていないことがわかる。
この3月、アメリカでいち早く自宅待機命令を出したのがカリフォルニア州だった。同州はその後、ウイルスの制御に成功したと判断し、5月に入ってから経済の再開を許可するようになったが、局面は変わりつつある。カリフォルニア州の1日当たり新規感染者数は6月の第4週に過去最多となり、26日も5600人を上回った。
感染経路を特定する「接触追跡官」を何千人と雇い入れ、訓練してきたにもかかわらず、感染が再拡大しているのだ。カリフォルニア州は検査能力も劇的に高め、マスクの確保も進めてきた。
ジェイコブスさんは、ロックダウンの効果を台無しにされ、自身の商売もめちゃくちゃにされたと感じている。ロックダウンで犠牲を払った価値はあったかと問いかけると、こんな答えが返ってきた。「全然なかったね」。
この間、政治家はいったい何をしていたのか
連邦政府に対する国民の信頼は何十年と低下し続けているが、ここ何カ月かの混乱した情報発信のせいで、政府には一段と疑いの目が向けられるようになっている。
「怒りというより失望。政府にはものすごく失望している」。そう語るのは、フロリダ州マイアミデイド郡南部で介護施設「ハンブル・ケア」を経営するゲイル・クリアリーさんだ。
クリアリーさんは、広く検査が行われず、接触者が追跡されなかったことにがっかりしていると言い、アメリカの対策が他国に遅れているのは不思議でならないと話す。生まれ故郷のジャマイカのほうがうまく対処できている、とクリアリーさんは語った。「私たちの知事は『マスクの着用を義務化する』というようなことすら言い出せない。あれだけの時間を使って、アメリカはいったい何をやっていたのか」。
(執筆:Sabrina Tavernise記者、Frances Robles記者、Louis Keene記者)
(C)2020 The New York Times News Services
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