自粛の中で「ウッチャンナンチャン」が光る理由 「リモート構成バラエティー」で見せた底力

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とんねるずでいえば、過去に『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)で“突然”後輩芸人らに高価な品物を購入させる「買うシリーズ」や、“突然”落とし穴に落とされる「全落・水落シリーズ」がある。

“突然”の中から生まれる笑いやとっさの反応は、これまでとんねるずが培ってきた「ドッキリ」や予定調和ではない芸風からくるものではないだろうか。

一見すると“悪ノリ”ともとれる後輩への接し方。しかしながら、有吉は「僕らは本当に楽しかった。とんねるずに遊んでもらっているようなもの」と絶賛し、信頼の厚さを感じ取ることができる。

一方でダウンタウンは、『水曜日のダウンタウン』(TBS系)や『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)などのひな壇やプレゼンテーション形式でのトークが目立つ。満を持して自分のトーク力を発揮できるこの形式は、準備した芸を全力で披露できる。それは後輩芸人の活躍を後押ししているようにとれるわけだ。

『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)や『人志松本のすべらない話』(フジテレビ系)がまさに“最大のチャンスの場”だろう。これからの若手芸人に一攫千金のドリームを用意している。

しかし、このコロナ禍ではひな壇やプレゼンテーション形式の企画撮影が進められず、テレビ局や制作会社も苦戦している。そのため、特にバラエティー番組は過去のまとめ再放送などが多く見受けられた。

そんな中でウッチャンナンチャンは「リモートで作りだす笑い」を魅せた。その笑いの最たる特徴は彼らのもつ“アットホーム感”ではないだろうか。

ウンナンの“優しさ”

かつて『内村プロデュース』(テレビ朝日系)に出演した、ずん・飯尾和樹がインタビューで次のように答えている。

《『内P』では「スベってから考える」ことを教わりました。『内P』は周りのメンバーやテロップで面白くしてくれるから果敢に発言できた。そのうえ内村さんからアドバイスをいただける》(『EX大衆』'18年9月号より)

また、南原にいたっても『ヒルナンデス!』のクイズコーナーで進行役でありながらも、自らボケにいくことで、後輩芸人たちも生放送で果敢にチャンレンジできる道筋をつくる。

ウッチャンナンチャンには、とんねるずやダウンタウンとはまた違う後輩芸人への“接し方・優しさ”がある。

「失敗が成功の糧になる」という優しさが彼らの魅力のひとつで、その優しさこそがコロナ禍の孤独な時間に私たちに寄り添ってくれた。

リモート式の番組から以前のような番組形式に戻っても、彼らの作り出す「笑い」がこれまでどおり、たくさんの人を笑顔にしてくれることを望んでいる。

●奥村シンゴ(おくむら・しんご)●放送・通信業請負コールセンターを経て、2012年から2018年まで認知症祖母在宅介護を6年経験。現在は精神病院に入院する祖母の緊急対応兼フリーランスライター、コラムニストとして執筆中。介護中心にエンタメ、時事まで幅広いジャンルを得意とし、citrusをはじめデイリースポーツ、季刊誌 認知症ケア(日総研出版)、介護ポストセブン(小学館)、みんなの介護ニュース(クーリエ)、アゴラなどで執筆中。
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