香港でなお続く騒乱が訴えるアジアに迫る危機 日本にはいったいどんな行動が求められるか

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香港「基本法」は、北京の香港への干渉を禁じ、その第22条は、中国政府所属の各部門は「香港特別行政区が本基本法に基づいて管理する事務に干渉してはならない」と規定する。中国政府は基本法の解釈を突然変更し、その香港出先機関「駐香港特別行政区連絡弁公室」は、香港問題への介入権があると主張した。 

さらに5月28日、全人代は香港に適用する国家安全法を新たに制定するとし、2047年まで香港に「一国二制度」を保障する英中間の国際約束に正面から挑戦した。ウイルス感染で全世界がその対応を迫られている隙に、アジアの民主主義、法の支配、基本的人権が空き巣にさらわれた感がある。

急成長する中国経済の規模から見れば香港の経済的比重は小さくなったかもしれないが、それよりはるかに政治が重くなったからだろう。北京の利益判断は、政治を取りに出た。最後の香港総督クリス・パッテン氏は、「ついに北京が香港の息の根を止める決意をした」と嘆じた。

矛先はアジアの広大な海にも

その矛先は香港内にとどまらずアジアの広大な海に向かおうとしている。コロナ蔓延で混乱の中、東アジアの平和に危機が迫っている。中国海軍艦船は高頻度で東シナ海、南シナ海および西太平洋に出没し始め、沖縄近海の通航回数を増やしている。北京は地中海の1.4倍の広さの南シナ海のほぼ全域を破線で囲み、自国の主権下だと主張し、コロナ蔓延の真っただ中にその水域に行政区設置を発表し、既成事実をつくる挑発行動を繰り返している。「次は台湾に照準を向けるだろう」と、台北に住む筆者の友人はその覚悟を語ってくれた。

アメリカは中国への経済制裁を本格化した。香港に認めてきた特別の地位を廃止しようとしている。香港への軍民両用品の輸出管理特例措置の撤廃、香港への渡航注意水準の引き上げ、特別関税圏・渡航圏としての香港の地位の取消し、香港の自治権剥奪に関与した中国と香港の政府要人への制裁措置など検討中だ。

さらに、アメリカ連邦職員や軍人の年金基金の運用対象から中国株式の排除も検討されている。アメリカの上下両院は、アメリカの証券取引所に上場できる外国企業の条件を厳しくする。外国政府が所有したり、支配したりしていないこと、アメリカのPublic Company Accounting Oversight Boardに認可された財務関係書類を提出しなければならないことなど、諸条件は中国企業だけを対象とするものではないが、200社近い中国企業はこれらの条件を満たせない。

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