京都の観光会社がコロナ禍の苦難に見た「糸口」 限られた条件の中でも稼ぐ手立ては残っている
井上:とはいえ、今後は、ツアーごとに有料化する仕組みも検討しています。例えば、普段は人目に触れない秘仏を祭っていたり、拝観のタイミングが限定されていたりするようなお寺を拝観させてもらって、それをライブで有料配信するようなアイデアです。
今、いろいろな企業に現状とこの先の展望をインタビューして、それも配信しています。
インタビューの際には、「この先、何か展望や明るいお考えを前面に出してほしい」という条件をつけて、それをはっきり伝えることができる企業に出ていただいています。お店の商品の販売やコマーシャルもしています。販売できたら、そのお店から多少のコミッションをいただいており、集客につなげることができています。
今まで顧客ではなかったお客様が、このオンラインツアーのホームページを見て、「ぜひ京都旅行をお願いしたい」と言っていただけるようになりました。
三神:リアルとオンラインの両方をやってみて感じたことは?
オンラインツアーは面白くなければ離脱する
井上:リアルのツアーは、最初から最後まで旅行会社がコースを決めて、そのとおりにお客様がついて行くというイメージがありますが、オンラインツアーに関しては面白くなければ途中で離脱ができます。つまり顧客が定着するかどうかをすぐに把握できます。
三神:マーケティング調査にも利用できますね。リアルのツアーだと、恥ずかしがり屋の日本人は、挙手して質問などを滅多にしないのに対し、オンラインツアーの観光では、どんどん質問が上がってくるのではないでしょうか。
井上:はい。気軽に意見をくださることは非常に有難いです。楽しんでいらっしゃることがじかにわかるので、励みになります。
今はオンラインツアーが始まったばかりなので、皆さんはこのシステムを楽しんでいるというのが現状です。これをいかに続かせるかというのが、今の課題です。
三神:ウェブだけで集客することは難しいと思います。
井上:今、京都を紹介するしか旅のツールを利用することができないため、改めて京都を見る機会が増え、まだまだ知らない京都の魅力的なところをたくさん発見しました。私たちでさえそうなので、県外のお客様の中にはもっと京都を深掘りしたいと思う方がいるかもしれない。そこを追求して京都の魅力を広げていき、有料のライブ配信につなげていきたいと考えています。