京都の観光会社がコロナ禍の苦難に見た「糸口」 限られた条件の中でも稼ぐ手立ては残っている
国内の団体旅行が減るのは確実
三神万里子(以下、三神):県境を越える移動が解禁になり、観光需要も少しずつ回復していますが、井上社長は今後をどうご覧になっていますか。
井上ゆき子(以下、井上):国内のお客様のグループツアー(団体旅行)が減るのは確実です。バスツアーの場合、感染リスク対策の観点からも40人乗りのバスだと半分の20人にしないと催行するのが難しい。当社ではバスツアーがいちばん売り上げに貢献していましたが、これが大きく望めなくなります。
旅行業界全体でも、今後は個人旅行の手配のほうが中心になるでしょう。もともと旅行会社は、旅行の知識をお客様に提供するというのがサービスの内容だったので、ここに戻っていきそうです。
狩野史長(以下、狩野):原点回帰ですね。
三神:国内旅行は中国からの団体旅行客が増える前から、“大箱で団体客”というトレンドから、個のカップル単位や家族単位の“カスタム型”の旅行という流れがありました。
そのために企画自体も、出発地点で企画する発地型から、着地地点で企画する着地型になっていたのですが、それが仕切り直しになったという印象を受けています。もう1回戻るのか、それとも、バージョンアップした形でこれから展開していくのか、どちらでしょう?
井上:戻るという予想はしていません。バスツアーや団体ツアーは、お客様の年齢層が非常に高く、推定で、参加者の年齢層が50歳以上、最年少でも50歳ぐらいの人たちというイメージです。いずれにしても団体ツアーに関しては、ここ10年ぐらいでビジネスとしての寿命を迎えていたのではないでしょうか。