京都の観光会社がコロナ禍の苦難に見た「糸口」 限られた条件の中でも稼ぐ手立ては残っている
井上:一方で、個人旅行の増加に対応して、私たちはコンサルティング業に従事していく方向でした。旅行業全体もそのイメージで動いていたのではないかと。コロナの影響で、その動きが加速したと思います。
狩野:旅行の参加者が少なくなる中で、どうやって収益を上げていきますか?
井上:例えば、1軒のホテルに10万円の宿泊予約を頼んだとすると、いったい旅行会社にどれだけお金が落ちるかということは、皆さんご存じないと思いますが、だいたい全部払ってしまう感じです。
一方で当社の場合は、コンサルティング・相談料金として宿泊料とは別に5000円ほどをいただいて、予約を代行しています。そこには、ただ単に「このホテルを予約して」と言われたから予約をするのではなく、まず選定するところから始まります。
「今度のお休み、1泊で家族旅行したい」と言われたら、そこで選択肢を絞っていく作業がありますが、それは2、3分で済むはずがなく、何時間もかかってしまいます。下手をすると丸1日かかってしまう。そこに5000円を投じていただくということになりますが、お客様の目からすると、10万円の宿泊に5000円の手数料を払うのは高いと感じていたのが、これまででした。今後は、それを高いと感じさせないサービスの展開をしていかなければなりません。
三神:例えば?
井上:窓口で接客する担当者は、宿泊場所やホテルを実際に体験しないで、何となくのイメージで販売することがほとんどです。それを本当に熟知して、その周りの環境や観光も含めた形でトータルコーディネートして販売する。そうすることで、お客様に価値をわかっていただけるようになると見込んでいます。
特徴的な“貸し切り”で密を避ける
三神:宿泊を提供しているホテルや旅館の経営者の目線になると、密を避ける必要があるため、旅行客をたくさん受け入れられません。
井上:“貸し切り”は具体的なテーマです。大型のホテルを貸し切ることは非常に難しいので、大体5部屋から10部屋ぐらいの旅館やホテルに対して、お1人様ごとに、1人部屋という設定をした状態で、“女性に限定したツアープラン”を検討しています。密を避けられるし、女性1人なので安心です。
三神:チェルカトラベルは、旅の動画をライブ配信するオンラインツアーを始められたそうですね。
井上:現在、無料で配信しています。
三神:これは収益化できるのでしょうか。
井上:私たちは“ど素人”なので、カメラワークがこなれていなかったり、音声などに不具合があったりするんですね。そのため今は有料化できず、無料にしているという事情があります。