7月以降の日本株は「再上昇」と見ていいのか 個人投資家の頼りになるのは「会社四季報」だ

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3月期決算企業の決算発表シーズンが、例年より1カ月ほど遅れてようやく終わったが、その内容は新型コロナウイルスの影響が強く反映されたものとなった。投資家にとって最も気になる今期(2021年3月期)の利益見通しについて、大まかに言えば「増益見通しが1割、減益見通しが3割、そして合理的な見積もり不能が6割」だ。

つまり、全体の6割もの企業について、個人投資家は“業績見通し”という非常に重要な投資の判断材料を得られていない。これでは、株価が相当に低い水準まで下落しても押し目買いのタイミングを測りにくいのは止むを得ない。

ヒントが欲しい投資家に「朗報」も

経済活動が再開に向けて動き出し、多くの企業の事業環境が好転する期待も高まる中で、「何かヒントが欲しい」というのが多くの投資家の気持ちだろう。

そんな中で、まず出てきた明るいニュースは、東京エレクトロン(8035)だ。決算発表時には示していなかった今期の業績見通しを6月18日に公表、しかも、純利益が11%増益という数字はアナリスト予想の平均値を上回る内容だった。

次世代通信規格「5G」の普及に加えて、コロナ感染拡大を受けてリモートワークが拡大していることも半導体需要の増加を促すことから、顧客である半導体メモリ大手企業の設備投資が増加することを見込んでいる。業績見通しの開示を受けて株価は上昇、2月13日に付けた年初来高値を更新した。

国内には、信越化学工業(4063)やアドバンテスト(6857)、SCREENホールデイングス(7735)、ディスコ(6146)、レーザーテック(6920)など、その技術力を世界的に発揮している半導体関連企業が多い。これらのそのほとんどは、コロナ感染拡大の影響が読みづらいとの理由で今期の業績見通しを示していない。

今回、東京エレクトロンが見通しを開示したことで、同業各社も見通しの開示に対して前向きになるだろう。また投資家からすれば、東京エレクトロンの業績見通しを参考にして同業他社への投資を考えることもできるようになる。

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