7月以降の日本株は「再上昇」と見ていいのか 個人投資家の頼りになるのは「会社四季報」だ

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7月下旬から本格的に始まる2021年3月期第1四半期(4~6月)の決算発表においては、かなりの数の企業が、本決算発表時には未定としていた今期の業績見通しを示してくれるだろう。またそれが個人投資家の物色意欲を盛り上げてくれそうだ。

ここでは、やはり6月26日に発売となった『会社四季報』の夏号も投資の手掛かりとして注目されそうだ。前回の春号においてはコロナ感染拡大の影響をほとんど織り込んでいなかっただけに、多くの投資家が夏号を待っていたのではないだろうか。

「行動は慎重に、しかし投資は大胆に」の局面

コロナ禍がどの程度響くのか、また、企業によってはコロナが業績にとってマイナスなのかプラスなのか想像し難いようなケースも決して珍しくはない。手掛かり不足で物色の圏外にあった企業の中から、投資対象として注目を浴びるものが多く出てくるだろう。また一方で、経済活動再開に対する期待が相場全体を支える中で、業績による個別の選別色が強まることには注意が必要となる。

未知のウイルスによる感染症の拡大が今後どのように収束への道をたどるのかはわかりにくい部分が多く、決して予断を許すものではない。ただ、これまでは五里霧中の状態で手探りだった企業業績の先行きに関して、手掛かりが見えてきたことは株式市場にとって大きな前進と言える。コロナ感染の再拡大を防ぐためには、まだまだ細心の注意が必要となるが、「行動は慎重に、しかし投資は大胆に」という局面を迎えてきたように思われる。

有沢 正一 岩井コスモ証券 投資調査部長

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ありさわ しょういち / Shoichi Arisawa

1981年大阪府立大学経済学部卒業。1989年岩井証券入社、株式部、調査部などの勤務を経て、2003年イワイ・リサーチセンターセンター長。2017年5月より現職。日本証券アナリスト協会検定会員。株式投資の対象として有望な企業を発掘するため、関西を中心に企業の調査・分析に取り組むかたわら、個人投資家向けに月10回ペースで株式セミナーの講師を務める。

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