世界のお金持ちが「金投資」に舵を切った理由

株価急伸に警戒感、リスクヘッジを重視か

 6月18日、株式市場が新型コロナ危機を受けた暴落から急速に持ち直しているにもかかわらず、世界の富裕層に投資助言するプライベートバンク(PB)が、金の持ち高をもっと増やすよう勧めている。株高がどれほど強いか、世界の中央銀行による惜しげもない資金供給の影響がどれだけ長く続くかについて懐疑的なためだ。写真は2017年6月、シンガポールで撮影(2020年 ロイター/Edgar Su)

[チューリヒ/ロンドン 18日 ロイター] - 株式市場が新型コロナ危機を受けた暴落から急速に持ち直しているにもかかわらず、世界の富裕層に投資助言するプライベートバンク(PB)が、金の持ち高をもっと増やすよう勧めている。株高がどれほど強いか、世界の中央銀行による惜しげもない資金供給の影響がどれだけ長く続くかについて懐疑的なためだ。

利息を生まないはずの金の魅力が相対的に向上

コロナ危機以前、大半のPBが顧客に推奨する金の保有比率はゼロか、ほんのわずかだった。今や、一部のPBは顧客のポートフォリオの最大10%を金に向かわせている。中銀の大規模な資金供給による債券利回りの低下ぶりで、利息を生まないはずの金の魅力が相対的に向上したほか、中銀の資金供給がインフレリスクにつながり、金以外の資産や通貨の価値を減じかねないからだ。

金価格は既に1オンス=1730ドルと、年初来の上昇率は14%に達しているが、PBの多くは金の一段の値上がりを見込んでいる。金はインフレとデフレの両方のヘッジに使える。

モルガン・スタンレーのウェルスマネジメント部門責任者、リサ・シャレット氏は「マネーサプライや資金供給拡大が重しとなって、最終的にドルは下落するとみる。こうしたことが金をかなり堅調に推移させるだろう」と語った。

ロイターが取材したPB9社はいずれも顧客に金への配分増加を助言していた。このうち4社は金価格の見通しも回答、今年末の価格は現時点を上回ると予測した。

PB世界最大手のUBSは、年末までに1800ドルを付ける可能性があるというのが基本シナリオだ。超低金利に加え投資家がヘッジ目的で金を選好するためで、新型コロナ感染の第2波が起きれば2000ドルの過去最高値もあり得るという。

UBSのPB責任者、キラン・ガネシュ氏は「最近の株価急伸で人々は警戒感を強めている。さまざまなシナリオでもうまく機能しそうなヘッジ手段を積極的に求めようとしている」と述べた。

モルガン・スタンレーは3月末に、同社の全ての投資モデルで金を含むコモディティーの比率を5%引き上げた。同社のシャレット氏によると、コモディティーの推奨比率が10%を超えることは考えにくいが、可能性はゼロではなく、特にインフレが実質的に上昇した場合はそうなるかもしれないという。

債券と株式の市場規模は合わせて最大200兆ドルと推定されており、ここから金市場へのいかなる資産配分の変更も、より小さな金市場にとっては影響は多大になる。金市場の規模は推計で5兆ドルに満たない。

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