世界のお金持ちが「金投資」に舵を切った理由 株価急伸に警戒感、リスクヘッジを重視か

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PB関係者によると、金についての顧客からの問い合わせも増えている。大々的に金に動くことを求める顧客は極めて少ないし、以前であれば、そんな行動はやめるように助言しただろうという。ただ、年配の顧客にはインフレリスクの懸念が最も強い傾向があるとも指摘する。

モルガン・スタンレーのシャレット氏は「こうした顧客らは資産保全に強い関心を持っている。多くの意味で他の一部の顧客よりも長い歴史的な見方で投資を考えており、彼らが懸念するのはインフレなのだ」と話した。

ウェルズ・ファーゴ・インベストメント・インスティテュートのリアル・アセット・ストラテジー部門責任者、ジョン・ラフォージ氏によると、金についての顧客からの電話の問い合わせは、昨年は週当たり2件ほどだったが、今では1日当たり2件のペースで、金相場が上昇した日には10件もの電話が来ることがあるという。

JPモルガン・プライベート・バンクの英・アイルランド部門責任者、オリバー・グレッグソン氏によると、金は利息を生まないにもかかわらず顧客からの問い合わせが増えているのは、「嵐の中の安全な港」との見方を顧客が強めているため。同氏は年末の目標金価格を1750ドルとしている。

選択肢は4つ

金に投資を移すことでポートフォリオのヘッジを考える人にとって、選択肢は4つある。(1)産金会社の株購入(2)金の現物価格に関連した動きをする上場投資信託(ETF)(3)金のオプションや先物(4)金地金や金貨などの現物─だ。

ヘッジ目的なら最初の3つの選択肢で事足りる。リスクへの警戒感がより強ければ、投資家は通常、現物を選ぶ。大半のPB大手は金地金の保管サービスを提供しており、ロイターが取材した8社は特にスイスとシンガポールで、そうした需要が高まっていると回答した。

バークレイズ・プライベート・バンクの共同投資責任者、アンドレ・ポーテリ氏によると、一部の顧客は新型コロナの流行発生を受けて今年初めに金現物を買い増し始めていたが、この流れがなお続いている。「3月と4月は大手の金地金製造業者が操業を休止し、国際的な出荷能力も不足したため、金現物の供給が混乱した。これが新たな顧客の引き合いをかき立てた」という。

(Brenna Hughes Neghaiwi Simon Jessop)

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