ボブ・ディラン「コロナの捉え方は無数にある」

インタビューで語った新譜、死、特別な存在…

ボブ・ディランが、ノーベル賞受賞後、ほぼ初めてインタビューに応じた。写真は昨年7月デンマークで撮影された提供写真(写真:ロイター)

数年前、ニューヨーク州サラトガ・スプリングスの木陰に座り、私は2時間にわたってボブ・ディランと話をした。話題はマルコムXからフランス革命、フランクリン・ルーズベルト、第2次世界大戦などに及んだ。

あるタイミングでディランは私に、1864年のサンド・クリーク虐殺についてどのくらい知っているか、と尋ねた。「あまり知りません」と答えると、ディランは折り畳みいすから立ち上がってツアーバスの中に入り、5分後に戻ってきた。ディランが手に持っていたコピーには、アメリカ軍兵士がコロラド州南東部で、温和な先住民族のシャイアン族とアラパホー族を何百人も虐殺したことについて書かれていた。

アルバム発売前の唯一のインタビュー

ディランとの間にはこうした関係があったので、今年の4月にも気後れすることなくディランに連絡が取れた。ディランはコロナウイルスの危機のさなかに、突如、17分に及ぶ曲「最も卑劣な殺人」を発表した。ジョン・F・ケネディ元大統領の暗殺について歌った叙事詩だ。私が連絡をしたのはこの曲の発表後だった。

ディランは2016年にノーベル文学賞を受賞して以来、自分のホームページ以外ではまとまったインタビューには答えていなかった。しかし、カリフォルニア州マリブの自宅から電話で取材に応じることを了承してくれた。

結果的に、そのインタビューが、アルバム『ラフ&ロウディ・ウェイズ』発売前に行われた唯一のインタビューとなった。『ラフ&ロウディ・ウェイズ』はディランのオリジナル曲を収録したアルバムとしては、2012年の『テンペスト』以来8年ぶりの作品で、アメリカでは6月19日に発売された。

ディランとの対話がたいていそうであるように、『ラフ&ロウディ・ウェイズ』がカバーする領域も多様だ。挑戦的なブルース、言葉遊び、愛国的な情熱、見事な安定性、詩的なキュービズム、晩年の思い、精神的な満足感――。

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