ボブ・ディラン「コロナの捉え方は無数にある」 インタビューで語った新譜、死、特別な存在…
私は何か別のことが起きる前兆のように思う。たしかに蔓延しているが、聖書的とは? つまり、人々が間違った行いを改めるための警告のようなもの、ということ? そうすると、この世界はある種の天罰に向かっているということになるね。あまりの傲慢さには、ひどい罰が下されるのかもしれない。もしかしたら、いまは破滅の前夜なのかも――。このウイルスについては、本当に数えきれないほどの捉え方があると思う。私は、ただ自然に任せておくしかないと思っている。
最近「マスターピース」を演奏するのは
──あなたのすべての曲の中で、私の中では「マスターピース」が年々大きな存在になってきています。最近のコンサートで、この曲をまた取り上げているのはどうしてですか?
私の中でも大きな存在になっているんだ。この曲は、古典の世界や、手が届かないものに関係していると思う。経験を超えて到達したい場所。あまりに崇高で一流なので、その高みから決して帰ってこられないもの。思いもよらないものを達成したこと。この曲が言おうとしたのはそういうことだ。
ところで、マスターピースと言えば、自分のマスターピースが描けたとしても、次は何をすればいい? もちろん、別のマスターピースを描かなきゃならない。そうなると、決して終わることのないサイクル、ある種のわなのようになる。この歌では、そんなことは言っていないけどね。
──体調はいかがですか。すこぶるお元気そうに見えますが。どうやって心と体を調和させているのですか?
それは壮大な質問だね。心と体が手に手を取って歩んでいく──。何か合意みたいなものがあるんだろうね。私は心を魂として、体を実体として考えたいと思っている。その2つをどうやって一体化するのか。まったくわからないな。
私はただ一直線に進んで、そこから外れないように、レベルを保つようにしているだけだよ。
(執筆:作家、ライス大学教授 Douglas Brinkley、翻訳:東方雅美)
© 2020 The New York Times News Services
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら