夫を「主人」と呼ぶ人に感じるモヤモヤ感の真因

経済力がある、若い女性までなぜ使うのか

2017年にインテージリサーチがネットアンケートを通じて行った自主企画調査によると、女性で夫を主人と呼んでいる人はアンケート回答者の23.4%で、旦那と呼んでいる人(22.9%)とほぼ同数だった。ただし年齢別で見ると、50代、60代では圧倒的に主人が多いのに対して(それぞれ40.4%と49.6%)、40代以下では旦那が最も多く、40代が58.9%、30代が65.8%、20代では67%に上った。ちなみに、20代で夫を主人と呼ぶ人の割合は17.5%と、「名前の敬称つき」「名前の呼び捨て」より低かった。

こうした背景には、仕事を持つ女性が増えたことがあると考えられる。インテージのアンケートでも、40代以下で旦那が主人を逆転したことについて、「女性の社会進出や男女雇用機会均等法の成立(1986年施行)などが影響していると考えられます。共働き世帯の割合が専業主婦世帯の割合を超えたのは1995年頃(出展:平成26年度男女共同参画白書)。この頃に平均初婚年齢である20歳代を過ごしていた世代が、現在の40歳代に当たります。今回の調査結果で、40歳代と50歳代の間に明らかな呼称の違いが表れていることは、この時代背景によるものと考えられます」としている。

主人には経済格差を思わせるニュアンスがある

「過渡期」に当たる40代女性の母親の多くは専業主婦で、夫の判断を仰がなければならない場面を多く目の当たりにしている。あるいは、離婚したくても経済的な理由でできないことを知っていた。男女平等を定めた日本国憲法ができても、昭和時代は、夫婦に上下関係があることが多かった。主な要因は、夫婦間の経済格差である。養ってもらっている女性が、夫を主人と呼ぶ。そのように認識した昭和育ちは、おそらく多い。

一方、自分の財布を持てば、好きな物を買える。あるいは離婚したいと思えばできる。自分のことを自分で決められる権利を求め、働く女性もいる。共働き世帯では、男女に収入差があったとしても、「夫に養ってもらっている」と考えている女性はそう多くないだろう。

そういう認識が浸透しているからこそ、自らも社会で活躍する佐々木氏のような女性が、夫を主人と呼んだときに違和感が生まれる。今回、彼女は結婚を継続させることを選んだが、それは夫がいなければ暮らしていけない経済的不安を持つからではないだろう。

主人という言葉への違和感は、『主婦之友』の発行部数が伸びた戦前、女性の法的な権利がほとんど認められていなかったことにも要因があると思われる。明治民法のもとで、結婚した女性は法的に無能力者として扱われた。仕事を持つなど経済活動をするには夫の許可が必要で、自分の財産管理もできない。子供の親権を持つこともできないと、ないないづくしだった。

一方、戸主には家族の結婚や離婚その他の重要な意思決定に関与する権限が与えられていた。女性には、そうした制度に不服を表明する手段である、選挙権や被選挙権もなかった。

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