アメリカの警察「スタンガン」重用への疑問符

テーザー銃の死亡例多く犠牲者は黒人に偏る

テーザー銃絡みの死亡例は、通常ほとんど社会的な注目を集めないし、テーザー銃の使用頻度やその使用が死につながった件数を調査している政府機関もない。テーザー銃と死因との関わりを評価する際の基準も、検視官や監察医によってさまざまだ。警察によるテーザー銃の使用を規制する全国統一基準も存在しない。

2009年末にはテーザー銃が心臓に与えるリスクの証拠が集まったことで、製造元のアクソンは重大な方針変更を行い、警察に対し、相手の胸部を狙ってテーザー銃の電極針を発射しないよう警告した。

だが3月3日のワシントン州タコマでは、この警告が守られなかった。

「息ができない」黒人男性にテーザー銃を使い殴打

新たに公表された映像、音声記録には、タコマの警察官が「息ができない」と叫ぶ黒人の男性にテーザー銃を用い、殴打する様子が残されている。3月25日、ミネアポリスで白人警官に膝で首を圧迫されたジョージ・フロイドさんの必死の叫びとそっくりだ。

警察は、マニュエル・エリスさん(33)が誰も乗っていない車のドアを開けようとしているのを発見したところ、彼がパトカーと2人の警察官に攻撃を加えてきたと述べている。遺族の弁護士によれば、エリスさんがコンビニエンスストアから自宅に徒歩で戻る途中、警官ともめごとが生じたという。

検視報告書によれば、警官はエリスさんの胸部に向けてテーザー銃を発射した後、彼に手錠をかけ、足をキャンバス製のストラップで縛ったという。エリスさんは意識を失っており、蘇生の試みは成功しなかった。検視官はこの件は殺人であると判断した。検視報告書では、死因として、身体拘束の結果として生じた低酸素症による呼吸停止を挙げている。

事件の映像が公表されたことで、タコマでは6月5日、エリスさんの死に対する抗議行動が発生した。ワシントン州知事は新たな調査を求め、タコマ市長は、事件に関与した警察官4人の免職・訴追を求めた。警察官のうち2人は白人、1人は黒人、もう1人はアジア系である。彼らは休職扱いとなっているが、まだ訴追はされていない。

警察官の1人、クリストファー・バーバンク氏はコメントを拒否している。ロイターでは他の3人とも連絡を取ろうとしたが、うまくいかなかった。タコマ警察署は、郡・州の調査担当者に協力していると話している。

(Linda So、翻訳:エァクレーレン)

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