経済再開で「感染増えた場所」「減った場所」の差 コロナ疲れで日常生活に一気に戻るリスク

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他方、経済再開を遅らせてきた州の多くは、少なくとも今のところ、これとは違った軌跡をたどっている。パンデミックで大打撃を受けた10州のほとんどは5月中旬以降に再開を開始し、1日の感染者数は現時点で減少している。

こうした州の中で5月15日より前に再開を進めたのは、ペンシルベニア州とインディアナ州の2州だけだ。ニュージャージー州とミシガン州は6月に入るまで本格的な再開には踏み出さなかった。ニューヨーク州とイリノイ州は、人口密度の低い地域で経済活動を再開しつつも、大きな被害が出た地域では行動規制を継続した。

もちろん、検査能力が上がれば、それにつれて確認感染者数も増える。アリゾナ州やフロリダ州などの当局者によれば、感染者数の増加は少なくとも部分的には検査実施数の増加によって説明できる。

アメリカにおける感染症の権威、アンソニー・ファウチ博士は12日、ABCニュースのインタビューで、感染が広がっているかどうかを判断するには、感染者数と陽性率の両方を確かめなければならないと述べた。

ファウチ博士は「検査を増やせば、見つかる感染者の数も増える」とし、こう続けた。「陽性率が高くなったら、本当に注意しなければならない。感染が実際に増えてきていることになるからだ」。

最悪のデータが次々と

だが複数の疫学専門家によれば、検査数の増加を割り引いたとしても、サンベルト諸州で確認された感染者数の増加は、実際に感染が拡大してきていることを示している。状況の悪化を物語るのが陽性率や入院者数だ。例えばフロリダ州では、5月中旬に検査を受けた人のうち陽性反応が出たのは約2.3%だったが、5月31日〜6月6日では検査を受けた人の4.5%以上で感染が確認されている。

パンデミック初期にはフロリダ州の陽性率はもっと高かったが、これは現在に比べ検査がはるかに小規模にしか行われていなかったためだ。陽性率はアリゾナ州とテキサス州でも、ここ何週間で上昇している。

アリゾナ州では12日、コロナに感染したとみられる患者が1400人以上入院した。1カ月前の755人から大幅に増加しており、パンデミックが始まってから最悪の状況になっている。テキサス州ではこの日、2166人のコロナ患者が入院し、同州としては過去最多のコロナ入院数を記録した。

コロナの流行が加速している州について、一部の当局者は同じ結論にたどり着いている。感染の増加は残念ながら避けられない、ということだ。

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