「感染爆発」止めた東京が全く称賛されない理由 称賛集めるニューヨークとの差は文化にある
新型コロナウイルスの感染拡大が続いていたアメリカ・ニューヨーク州、ニュージャージー州では、5月に入って感染の勢いが明らかに沈静化してきました。それでも、まだ一日ごとの死亡者数は両州ともに200人弱という水準で、日々の定例会見ではクオモ知事もマーフィー知事も厳粛な姿勢で数字を発表しています。
ただ、両州ともに新規入院患者数はピーク時と比較して大きく減り、それとともに臨戦態勢を敷いていたコロナ病床については撤収が進んでいます。例えば、ハドソン川の桟橋に停泊して治療に当たっていた海軍の病院船「コンフォート号」は4月30日に任務を終了しました。
また、陸軍工兵部隊が突貫工事で臨時病院に仕立て上げた会議場の「ジャビッツセンター」の病床利用も、宗教系の医療団体がセントラルパークに設営した「野戦病院」形式の病床も撤収されました。
ちなみに、この間のニューヨーク州、ニュージャージー州ではまさに「戦時体制」が取られ、まず医師免許のある人は専門にかかわらずコロナ対応に回っていました。そればかりか、医科大学院の学生は「繰り上げ」で前線投入、さらに専門外の歯科医も支援体制に組み込まれました。また、外国の医師免許を臨時に「自動的に有効として診療行為への従事を認める」という政令まで出されたのです。
NYの「医療崩壊」の惨状
同時に、全国からニューヨーク、ニュージャージー両州の支援のために応援の医師、看護師が集められました。この応援チームについても、任務完了ということで、一部では盛大な「感謝のセレモニー」を経て、それぞれの地元に戻っていきました。
そうではあるのですが、この間の感染のピークにあたっては、病床や医療従事者の不足により救命できる患者の救命ができなかったケースも出ています。それ以前の問題として、無保険者、不法移民などで医療サービスを受けられずに在宅死した例は多数に上っており、明らかに医療崩壊が現実に起きていたと言えます。