健康促進へ方針転換、たばこ大幅増税の衝撃
当然、たばこメーカーには経営戦略の練り直しが迫られる。「(85年の)民営化後は23工場だったが、11年3月には6工場まで減る予定。だが今回の増税で、さらなる閉鎖や人員削減も選択肢の一つとなる」(JT)。国内販売本数は年4~5%のペースで減少が続いているが、これに拍車がかかるのは間違いない。
政府は国税で1232億円(11年度)の税収増を見込むが不透明だ。だが医療経済研究機構が行った調査では、たばこの害による医療費の増加や労働力喪失などの社会損失は7兆円超との試算もある。
国立がんセンター研究所のたばこ政策研究プロジェクトリーダーの望月友美子氏は「現状の税収2兆円と比較すると、7兆円の損害は累積赤字状態。すでに財政確保というたばこ事業法の目的は損なわれており、見直しは当然」と指摘する。
英国やフランスと比べると、日本の1箱400円はなお安いとの声もある。政権交代で日本のたばこ行政も、大きな転換期を迎えている。
(麻田真衣 撮影:今井康一 =週刊東洋経済)
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