「iPhoneアプリ」でどれだけのお金が動いたのか 「日本のスマホ市場」に残された成長余力とは

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もっとも大きいのはアプリを起点とした小売りで2680億ドル、航空・宿泊など旅行関連が570億ドル、ライドシェア・迎車サービスが400億ドル、料理や食材の宅配サービスは310億ドルだった。

ゲームや音楽、映像、新聞といったデジタルコンテンツ販売は610億ドル、アプリ内広告は450億ドルだったという。

こうした数字には地域ごとの格差も大きい。

例えばライドシェア・迎車サービスにおける400億ドルの経済効果のうち、アメリカは実に230億ドルを占める。対して法規制がもあってライドシェアが発展していない日本では、わずかに10億ドル。アプリ内広告もアメリカが突出しており、450億ドルのうち230億ドルをアメリカが占めている。

なかでも際立っているのが、中国の“物販”に関する数字だ。中国におけるApp Storeを通じた物販は2019年に1750億ドル(しかも調査会社によれば「控えめな数字」)に達している。

日本市場に残る「伸びしろ」

中国市場でスマホアプリを通じた小売りの市場規模が他国に比べ、突出して大きいことに関して、Analysis Groupの担当者は理由の分析を避けているが、さまざまな製品の生産地である中国の企業や仲介事業者が、グローバルの消費者と中国市場をつなぎ、国境を越えた商取引をスマートフォンが生み出しているから、という見方もできる。

また、売り上げが発生している国を完全に追い切れているわけではないと認めている。例えば、中国国外に住む消費者からの発注に対し、中国の事業者が直接、海外へと発送しているケースなどは中国の売り上げとしてカウントされている場合などがあるからだ。ネット上での取引は、明確に国や地域の線引きを行えない。

しかし、中国が突出している理由はともかくとして、これらの数字は日本の事業者に大きな可能性があることも示している。

例えばこれまで日本市場はアメリカや中国に比べ、ネット通販の比率(EC化率)が低いと言われてきていた。近年、ネット通販の売り上げは伸びているものの、特にメーカー、ブランド側のオリジナルのアプリを活用したECの活性化は、一歩遅れている。

しかし、思わぬ新型コロナウイルスによる自粛期間が、EC化率を高めるトリガーになるかもしれない。

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