第2波来ても「再封鎖」があまりに難しい理由

世界のトレンドは感染拡大でも経済優先

インドの人口は13億人で、うち数億人が極貧状態にあり、数え切れないほど多くの人々が過密状態の都市部で暮らしている。衛生状態は劣悪で、公的医療システムも貧弱だ。

迅速な対策もむなしく、インドは今、急増する感染の対応に大わらわとなっている。同国ではわずか24時間で新たに1万人の新規感染者が報告され、累計感染者数は約27万人と、スペインを抜いて世界の5大感染国の一角を占めるまでになった。公衆衛生の専門家は、間もなく病床や医師が足りなくなると警鐘を鳴らしている。

それでも、インドでは今週、飲食店や小売店、宗教施設が再開された。

インド・デリー政府のマニッシュ・シソディア副首相は、現在の感染率からいけば、首都ニューデリーの感染者数は7月末までに50万人に達する可能性が高いと警告する。

デリーでイベント会社を経営するラジニシュ・シンハさんは、75歳の義父が9日にコロナウイルス検査で陽性が確認され、8時間かけてようやくキリスト教系病院に入院させることができたが、ベッドはなく、担架しか確保できなかったという。

シンハさんは言う。「これは今後やってくる大惨事の始まりにすぎない。神のみが私たちを救える」。

ロックダウン緩和で急増する感染

ラテンアメリカでは、ペルーやボリビアなど早期に隔離措置を講じた国、そしてブラジルやニカラグアなど、さまざまな勧告を無視した国のどちらにおいても、感染が急増している。

国民をウイルスで死なすか、飢餓で死なすかという厳しい選択を迫られた政府が、封鎖を緩め始めているのだ。

コロンビアのドゥケ大統領は少し前にロックダウンを緩和し、自治体に最終判断を委ねた。その後、コロンビアの感染者数は急増した。

南アフリカの公衆衛生当局は、過去2週間だけで、これまでの累計感染件数の半数以上を記録した。南アフリカの累計感染者数は5万人超とアフリカで最も多い。

ラマポーザ大統領は国民向けのウィークリーレターでこう述べた。「国民の皆さんと同じく、私も数字が上がり続けるのを見て心を痛めている」。

それでも南アフリカは活動再開を進めており、すでに大半の人々が仕事に復帰している。ラマポーザ氏はロックダウンが病院に態勢を整える時間を与えたと述べているが、この主張は数日中にも現実の試練にさらされることになる。

感染拡大を遅らせるために西欧やアメリカが取り入れた手法は、必ずしも全世界に適用できるものではない。この点は、どうやら明確になったように思える。そもそも、非公式経済を抱える国がロックダウンを強要すれば、社会そのものが崩壊しかねない。

一方、ウイルスの第1波で大きな打撃を受け、その後事態が改善してきている国も、決して危機を脱したわけではない。人と人との間隔を保つソーシャルディスタンシングとその順守は、多くの場面で依然として場当たり的であり、つながりたいという人間の最も基本的な欲求との葛藤が続いている。

(執筆:Marc Santora記者)

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