第2波来ても「再封鎖」があまりに難しい理由 世界のトレンドは感染拡大でも経済優先

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しかし現実はそれほど単純ではない。コロナの感染は加速と減速を繰り返すとみられており、それに応じて閉鎖と解除を繰り返さなくてはならなくなる可能性があると保健衛生当局は指摘する。だが、このような提言はもはや聞き入れられない恐れがある。

何世代と経験したことのない痛みが経済に広がった今となっては、もはや政治が再び閉鎖に動くことはないかもしれないし、そのような機運すら高まらないかもしれない。おおむね規制に従った一般市民も(本当の意味で大規模に強制された規制は多くなかったにせよ)、再び閉鎖となったときに、1度目と同じように制限を受け入れるかどうかはわからない。

しかし、ウイルスは妥協というものを知らない。今やコロナは新興国で加速度的に広まっており、このまま感染者数が急増し続ければ、ただでさえ貧弱な医療システムはあっという間に崩壊するだろう。

9日、アメリカ国立アレルギー・感染症研究所のファウチ所長は厳しい見通しを発表し、警戒を訴えた。「コロナは4カ月で全世界を打ちのめしたが、それで終わりというわけではない」。同氏はコロナを自身が経験した中で「最大の悪夢」と呼んでいる。

感染急増の中で緩む対策

7日に公表された13万6000件の新規感染の4分の3は、インド、ブラジル、メキシコ、南アフリカなど主に南北アメリカと南アジアの10カ国で発生している。

汎米保健機構のカリッサ・エティエンヌ事務局長は9日、ラテンアメリカとカリブ諸国が切迫した状況にあるとし、こう述べた。「(コロナ危機で)私たちの地域は限界まで追い込まれた」。

政府が情報を統制し、世論をコントロールしてきた国でも、感染は急速に広がっている。ロシアでは感染者数が増加し続けているにもかかわらず、政府が今週ロックダウン(都市封鎖)を解除した。ブラジルのボルソナロ政権は別の手を使い、コロナによる累計の死者数や感染者数の公表を取りやめたが、その後、最高裁から公表の再開を命じられた。

一方、メキシコでは首都メキシコシティにおける死亡者数を政府が何百、あるいは何千と過小に報告している。複数の政府関係者や機密データによると、政府発表の3倍を超す死亡者数を集計し懸念を強めていた役人らは政府によって更迭された。

メキシコのロペスオブラドール大統領はウイルス対策と経済のバランスを取るのに苦戦している。メキシコでは国民の大半が、社会保障の受けられない非公式経済の中でギリギリの生活を送っているからだ。

そのメキシコは今、活動再開が徐々に進み、賑わいを取り戻しつつある。

ウイルスと正面対決したにもかかわらず、インドのように状況が悪化している国もある。

モディ首相が「一切の外出を禁止する」と国民に命じたのは3月24日。「すべての州、すべての地区、すべての通り、すべての村をロックダウンする」との宣言はびっくりするほど野心的なものだった。

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