日本の場合は、ある程度各人が納得したうえで外出を控えてきた。もちろん「自粛警察」がうるさい、という他人の眼もあったわけで、経済活動の戻りは他国に比べればゆっくりしたものになりそうだ。
安倍晋三首相は5月25日に緊急事態宣言を解除した際に、「日本モデルの力を示した」と誇っていたけれども、このモデルには「需要の回復が遅い」という副作用があるかもしれない。
ということで個人的にはホッと一息というところなのだが、アフターコロナにおける日本経済の再生には課題が山積だ。通常の経済危機と違って、①外需やインバウンドに当面は期待ができない、②個人消費の需要と供給が同時に「蒸発」してしまっている、③収束時期が見えない(第2波がいつ来るかわからない)という3つの特色がある。要するに、どこから回復のきっかけをつかめばいいのかが見えにくい。
「短・中・長」3つの経済対策、現在はどの段階?
現在進行中の経済対策は、短期、中期、長期で下記の3点に整理することができるだろう。
*第1段階(短期):財政支出と金融緩和(特別給付10万円、雇用調整助成金、資金繰り支援、仕事を失った人への補助)→今後は2次補正で家賃保証、苦学生支援なども
*第2段階(中期):医療現場と地方自治体への支援。大企業への支援(資本注入)、需要の回復(Go To キャンペーン=観光支援など)
*第3段階(長期):リモート社会の促進(在宅勤務、オンライン診療・教育)、サプライチェーンの再構築(脱・中国?)、電子政府の推進(マイナンバーの紐付けなど)
現時点では、上記の第1段階にようやく目途がつき、じょじょに第2段階に移るところである。これらとは別に、長期の課題(第3段階)も着実に進めていく必要があるだろう。
足元の問題についていえば、6月12日に2次補正予算が成立した。事業規模は117.1兆円と、1次補正とぴったり同額になっている。ただし、この数字合わせにさほど意味はない。真水の国費投入は33.2兆円であり、1次補正の27.5兆円と合わせれば計60.7兆円。優に対GDP比で1割を超える。規模としては十分であろう。
むしろ問題は、効率的な執行ができるかどうかである。いくら大型の予算を用意しても、今の政府は「マスクと10万円」をなかなか国民の手元に届けられないでいる(正確にいえば、アベノマスクはマスクが余る頃になって拙宅に到着した)。この点で、国民の眼は厳しいと考えなければならない。
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