コロナでも「客トラブルゼロ」台湾そごうの秘訣 非常事態で見えた、店と客の「望ましい関係」

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台湾では、台湾内でマスクが十分に生産・供給されるようになった4月1日から、地下鉄やバスなど公共交通機関でのマスク着用が義務化された。しかし、実はそれよりずっと前、まだ日本はもちろん、世界中でコロナの危険性が認識されていなかった1月末から、ほとんどの人がマナーとして着用していた。

播本氏によれば、旧暦の元旦である1月26日、デパートは初売りセールで超満員だったが、翌日に地下鉄に乗ると、乗客の半分がマスクをしており、さらに翌日は9割の乗客がマスクを着用していたという。

「遠東SOGO」では、1月15日ごろにコロナ情報が入り、すぐに社内の法務・人事・営業・販促それぞれの主要メンバーによる対策本部を設置。1月28日には「遠東SOGO」でも入口に消毒液を置き両手の消毒を促し、マスク着用をお願いするようになった。デパートで御法度だった、スタッフのマスク着用もいち早く始めた。

2月1日には、9箇所ある本店の入り口を半分にして、赤外線による検温と両手の消毒を徹底。駐車場も1台1台に対して同じことを実施と、かなり手間をかけている。

アウトソースの清掃員を増員して掃除の頻度を高め、エスカレーターのベルトからエレベーターのボタン1つまで徹底して消毒した。その様子を撮影して店内のテレビ広告などで流し、安全性を伝えた。

3月末には「遠東SOGO」の伝統でありDNAでもある日本の物産展が催されたが、日本から多くの店舗が来台できず、悔しい思いをしたという。一方でこのタイミングから全館のレストランなど飲食スペースにおける試食販売の中止と、アクリル板の設置、飛び石式の座席を実施。今でも継続しているという。

「もちろん台湾は面積も小さいし人口が少なくて、もともとIDカード(健康保険証)もあるから防疫管理を徹底しやすいということはあるでしょう。でも、決まったことに協力的なところは台湾人の民族性ですね」

と播本氏は語る。

(写真左)入店時には赤外線で体温チェック(写真右)館内の至るところに消毒液が設置してある(写真:筆者撮影)

サービス業が従業員を守るために

これは筆者の個人的な考えだが、お客に防疫対策に協力してもらえないということは、バックグラウンドのわからない相手に対面接客しなければならないサービス業従事者にとって、かなりのリスクを伴う。

そういった意味で、サービス業の事業主がこうして上手に防疫対策を実施してくれるというのは非常に重要なことだと思う。

「遠東SOGO」では来店客以外に、従業員に対して防疫対策についての特別な教育などを行っているのだろうか。

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