非正規単身女性を容赦なく「コロナ切り」の過酷

不安定な立場で生計立てており貯蓄も乏しい

「仕事がない不安から余分な出費を抑えなければいけないということで、車を手放した。涙が出た。ここまでしないといけないかな、と思って」と語る。特別給付金は申請したが、まだ届いていない。「一回きりもらったぐらいでは、一日一日生きていかなければいけない者としては、ちょっとしんどい」と話す。

和光大学名誉教授の竹信三恵子氏は、一人暮らしの非正規雇用の女性が支援を受けにくい理由について、日本では「もともと男性が生活費を稼ぎ、女性が足りない部分を補うという働き方(が主流)だったため、女性が失業しても夫の安全ネットがあるからそんなに問題はないと思われている。経済が悪くなったら解雇すべき人たちだと思われている。でも実は違う」と指摘する。

野村浩子氏の試算によると、配偶者のいない約130万人の女性が不安定なパートで生計を立てており、「コロナ渦は、こうした非正規女性の生活を揺るがしている」。さらに非正規雇用で働く女性の約7割が年収150万円未満(2017年「就業構造基本調査」)であり、独身一人暮らしだと当座を乗り切る現金の貯えがあるとは考えにくい。

まだまだ続く解雇・雇い止め

日本の全労働者の約4割が非正規で働いているが、女性だけでみると、6割弱がパート、アルバイト、派遣社員などの非正規労働者。男性では非正規の比率は2割程度にすぎない。

野村氏は、非正規労働者に対する解雇、雇い止めは、まだまだこれから増えるとみている。契約社員の場合、3カ月ごとに更新されるケースが多く、6月末に職を失う人が急増するとの見方もある。

非正規社員の待遇改善に取り組む労働組合、派遣ユニオンの関根秀一郎書記長は「リーマン・ショックの時、派遣切りがあったのは製造業が中心だったが、今回はあらゆる業種に広がっている傾向がある。まだまだ雇い止めはどんどん継続していくと思う」と話す。

政府が経団連に対し、雇い止めや解雇を行わないよう要請したが、その効果は期待できるかとの質問に、関根氏は「お願いして聞いてくれるものではない。切れないようにルールを作らなければならない」と答えた。

(宮崎亜巳、山光瑛美、取材協力:リンダ・シーグ  編集:山川薫)

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