「違和感だらけの人生」にキレないための新提案 物事に「一喜一憂しやすい人」に伝えたい

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人生に潜む”違和感“に気づかせるアートとは?(写真:bashta/iStock)
まだまだ収束とはいかない新型コロナウイルス。さまざまな情報に振り回されそうになりますが、このような人生においての不測の事態でも“アート感覚”があればバランスよい判断ができるというのは、東大で教鞭を執りながらさまざまな芸術活動を行い、『東大の先生! 超わかりやすくビジネスに効くアートを教えてください!』などの著書を持つ三浦俊彦氏です。そんな“アート感覚”について、三浦氏に聞きました。

必要なのはバランス感覚

日本の緊急事態宣言は解除されましたが、いまだ世界では新型コロナウイルスが猛威を振るっています。テレビや新聞で連日報道されるウイルスに関するニュースを見るたびに、不安を掻き立てられる人もいるでしょう。

ですが、バランス感覚に恵まれた人は、必要以上に不安になったり恐れたりすることは少ないのではないかと思われます。バランス感覚、つまりはアート感覚です。

絵の構図やメロディのメリハリを的確に鑑賞できる感受性は、物事を適切に重みづけする能力と表裏一体です。恐るべきものは恐れ、特別視する必要のないものは潔く省く。名作と駄作を区別し、傑作と凡作を見分ける審美眼は、日常生活でもバランスよい判断を導くのです。

そのような「審美眼」「バランス感覚」は、アート史の文脈でいえば「古典主義的」、20世紀以降のアートの文脈でいえば「モダニズム」の美的感覚と言えるでしょう。一見、無秩序だったりわかりにくかったりする対象の中に、隠れた美、新種の美を見出して、感受性の枠を広げる価値観です。

モダニズムのアートを代表する画家、ジャクソン・ポロックの「アクションペインティング」の絵を検索してみてください。一見、落書きのようですが、そうではありません。

大きなカンバスの上を走り回って絵の具をまき散らしているわけですが、大まかな体の動きと細かい絵筆の振りとが組み合わさって、微妙な模様が出現しているのが見て取れます。時にはカンバスにあらかじめ印や模様をつけておき、そこを狙って絵の具をたらし、アクセントをつけるなど、技巧の限りが尽くされています。フラクタルと呼ばれる自然界の揺らぎを扱う数学理論でポロック絵画を読み解く論文がいくつか発表されているほどです。

ぐちゃぐちゃの絵具痕の奥底に幾何学的なバランスを見る目を持つ人は、雑多な情報に惑わされることなく、過剰な恐れを持たずに日々を淡々と過ごすことができたでしょう。

このコロナ問題、もし日本政府が、スウェーデン政府のように、モダニズム的な美的感覚・バランス感覚・アート感覚を備えていたら、また違った政策を講じたかもしれません。

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