セロイとイソと三角関係にもあるもうひとりのキーパーソン、オ・スア役は元アイドルで女優のクォン・ナラが扮し、依存体質から抜け出し自立する姿が描かれていきます。
登場する1人ひとりの人物像を丁寧に映し出し、言動からメッセージを伝える手法は世界市場で流通しているドラマと共通するものでもあります。必ずやそれを意識して描かれているのだろうと思わずにはいられません。
クリエイターの創造力を大事にするウェブ漫画発
それもそのはず。原作はウェブトゥーン(ウェブ漫画)発であることに納得がいきます。ウェブトゥーンは韓国で急成長を遂げるジャンルで、もともと韓国のコンテンツ国際戦略のひとつとして世界市場を意識したストーリー力を高めるために推進されていった背景があるからです。ウェブトゥーンではクリエイターの創造力が重視され、新たな韓国らしいコンテンツを生み出そうという狙いもありました。
ウェブトゥーン発のヒットドラマは過去に『ミセン』もあり、今後、Netflixで配信予定の注目作『Sweet Home -俺と世界の絶望-』もそうです。『梨泰院クラス』の原作は、カカオが運営する韓国第2位のポータルサイト「Daum」で配信されていた同名タイトルのもので、日本では「六本木クラス」として日本版がピッコマで配信されています。なお、原作者のチョ・グァンジン自らドラマの脚本も手掛けています。
世界市場を明らかに狙い撃ちしていると思う、もうひとつの理由もあります。『梨泰院クラス』の制作は韓国のヒットメーカーであるJTBCが手掛けているからです。
JTBCは衛星チャンネルを運営するメディア企業のひとつで、韓国のリアルなお受験戦争を描いた『SKYキャッスル ~上流階級の妻たち~』などヒット作をここのところ連発させています。JTBCのコンテンツ部門であるJTBC Content Hub は2019年11月25日に複数年にわたるコンテンツ配信契約をNetflixと結んだところ。これはJTBCがゴールデンタイムに放映するTVドラマをNetflixで190カ国に配信できるようになる契約で、ドラマの共同制作やPRの共同展開なども含まれます。
つまりこれは、世界市場でも認められる面白いドラマを作る下地があるということ。韓国ドラマファンという意識なく、次から次へと韓国ドラマを試しているのは、新しい作品だと思える要素があるからなのではないでしょうか。国内市場だけでなく、世界で競争力を磨いて作られる作品が韓国ドラマにも増えていることが、ハマる人続出の理由になりそうです。
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