松本大・マネックスグループCEO--あきらめ感が支配している?《私のアラサー論》
私は1963年生まれの自分を、大好きな車に例えて63年式と言っているが、年代の違いは年式が違うくらいの意味合いしかないと考えている。つまり80年生まれと、自分とは単にそれだけの違い。「近頃の若いやつは」というのは基本的に言わないようにしているが、あえて聞かれているので、その禁を破ってみることにする(笑)。
ウチの会社を見ていてもそうだが、30歳前後の世代は帰国子女が多い。日本企業の海外進出の結果といえるが、外国が普通になっていて抵抗感は薄い。その点でグローバル化が進んでいるように見えるのだけど、実はその逆が起きているように感じる。
私より上の世代は外国への大きなあこがれがあって、海外志向がある人は英語も必死に勉強した。それが今の若い世代は大学に入るのが易しくなって、しゃかりきになって勉強したことがないのか、英語も普通によくできるが、語学力ですごいと思わせる人を見掛けない。
私たちの世代までは「海外と競争するんだ」「国際舞台で戦うんだ」という感覚があった。競争心は時に成長至上主義と結び付きやすく揶揄の対象にもなるが、30歳前後の世代にはそもそもそうした感覚がない。身近になりすぎたゆえなのか、外国に強いあこがれや関心がないようだ。
この20年、日本は一時的に景気のいいときもあったが、ならしてみればほぼフラット。彼らからすれば子どもの頃からずっと経済成長の実感がないだろう。だから経済が伸びる中で働く、というのがピンとこないかもしれない。
あきらめ感が支配している?
鳩山首相にしてもオバマ米大統領と会談した折、温室効果ガス削減は話題にしても経済成長の議論は重要じゃないと避けてしまうワケで、経済成長が社会にとってどれだけ重要かという認識がない。