コロナ禍が鮮明にした「労働者の未来地図」 どの仕事が残って、どの仕事が消え去るのか

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感染症対策でこの間にキャッシュレスが進むかと思いきや、その動きは実に鈍く、私はクリニックで消毒した現金をお釣りで渡されたくらいだ。以前から、医療では衛生面が重要だからキャッシュレスにしたら、と提案しているのだが、これが半年たってもやってくれない。

手数料の高さや、8割が現金(老人ほど現金)という壁があり、デビットを普及させまいとする金融業界の既得権が絡んでいるとしか思えない。薬剤師や医師と患者を取り巻く日本のIT&AIも、著しく生産性が低い。

AIにもコロナにも負けない、永遠不滅の人間労働

一方で、「手先ジョブ」エリアの仕事は、コロナ禍によってUberEatsや宅配業者が街中にあふれたことで、物流センターのピッキングや積み込み、配送ドライバーといった手先ジョブが永遠不滅の人間労働であると、日常生活の中で改めて実感できたと思う。ドミノピザはコロナ禍の4月、正社員200人、アルバイト5000人を採用すると発表した。

道路工事が通常どおり行われているのは車を走らせればわかる。空調メンテ業を営む零細企業の社長は、いつもどおり仕事があり、「むしろずっと人手不足だったから、若手を採用するいいチャンスになりそうだ」とも話していた。

新たに露呈したのは、対人ワークが大半を占める「職人プレミアム」エリアの職業(料理人、ホテルマン、マッサージ師など)が、対人であるがゆえになくなりはしないが、感染症にはめっぽう弱い、という弱点だ。これは、本書の執筆時点では気づかなかった新しい視点だったので、ここに追記しておきたい。

いわゆるエッセンシャルワーカー(警察、消防、看護、介護、保育など)と呼ばれる人たちの大半が、ここである。介護業界も、デイサービスの利用頻度が半減して労働時間が減ったという。取材した介護福祉士は、施設勤務なので「怖いけど休むわけにもいかない。新規の受け入れや面会はストップしている」と嘆いていた。

クリニックを訪問する利用頻度が減り、医療機関の経営も圧迫されている。ただ、これらは、適正規模を上回っていた可能性が高いということでもある。不要だった来院、不要だったデイサービス利用が削られ、本当にエッセンシャル(必要不可欠)な労働だけが人間に残った、ということである。ぜい肉がそぎ落とされた格好だ。

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