コロナ禍が鮮明にした「労働者の未来地図」 どの仕事が残って、どの仕事が消え去るのか

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では、コロナ禍で再確認できたことを簡単に述べてみよう。

既得権組織は本当に変化しない

政府のITがいかに絶望的なものか、という話は、著書や各種メディアでさんざん書いているとおりだが、危機に際して、予想どおり実害が出てきた。この数カ月で次々と明らかになったアナログ行政はひどいものだった。

「10万円給付」の実務が、マイナンバー情報と住民基本台帳(世帯主情報が載っているデータベース)がつながっていないために、世帯主でない個人が申請できてしまったり、職員が2人1組で目視で読み合わせて住民票コードを手で入力したりするなど、ほとんど官製コントのような状況になっている。

東京都の新型コロナ感染情報も、保健所と本庁の間が、手書きFAXという紙のやりとりなので、いちいち職員による転記作業が発生し、情報が遅く、しばしば間違って修正作業が発生し、ろくに機能していない。要は、昭和時代のまま平成の30年間、世の中が急速に進歩しPCが普及し、クラウドが発達したのに、何も手をつけずに放置していたのだ。

森永卓郎さんが、私の本を書評してくれた際に、こう書いている。

「特に素晴らしいなと思うのは、既得権をきちんと分析していることだ。いくら技術的に不要になっても、既得権で守られた仕事は消えないからだ」(日刊ゲンダイDIGITAL)

ITが機能しないことによって、現場の職員が余計に働く。その休日出勤代や残業手当は、税金から支払われる。現場にとってはボーナスであり、どんなに無駄な作業でも役人は既得権者の代表なので身分が保証され、職場に来ていれば失業することはない。

本来なら、こうした税金の無駄遣いや国民生活への悪影響(給付遅延、誤情報発表)について、為政者は責任をとって処分されるべきだ。それはマイナンバーを所管する高市早苗総務大臣であり、IT政策担当の竹本直一大臣であり、東京都なら小池百合子知事とIT担当の宮坂学副知事あたりだろう。

だが、日本は超無責任行政なので、誰にも責任はないことになり、うやむやなまま、この状況が10年20年後も、また繰り返されるわけである。実際に平成の30年間、何も進歩しなかったのだ。

この既得権エリアについては、市場原理が働かないため、一向に昭和時代のまま変わることはない。これは行政に限らず、準規制業種である医療機関や金融保険業界でも似たり寄ったりで、既得権には、そのガチガチ度合いにグラデーションがある。その要素を分析せずして、ITやAIが社会をどう変えるのかは論じられない。

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