日本人の「命と健康」は生産性向上でのみ守れる 「アベノミクスの生産性向上」はもう限界だ
さて、「生産性」と「労働生産性」は「労働参加率(=就業人口÷人口)」でリンクしています。
定義から、「生産性=労働生産性×労働参加率」と計算できるのです(計算は本記事末尾の補足を参照してください)。たとえば、労働生産性が1000万円、労働参加率が50%だとすれば、国全体の生産性は「1000万円×50%=500万円」です。
ここから、生産性を上げるためには、労働生産性を上げるか、労働参加率を上げるかの、2つの方法があることがわかります。労働生産性が1200万円まで上がれば、労働参加率が50%のままでも、生産性は600万円となります(1200万円×50%=600万円)。一方、労働生産性が1000万円のままでも、労働参加率を50%から60%まで上げれば、同じように生産性は600万円まで上昇します(1000万円×60%=600万円)。
アベノミクスは「労働参加率」の上昇に特化していた
実際には、労働生産性を高めることは簡単ではありません。そのため、従来の経済政策は世界的に、労働参加率を高めることを優先してきました。
労働生産性を上げず、労働参加率を高める政策の典型例が女性活躍の推進です。国民の半分を占める女性にも労働者として働いてもらえれば、労働参加率を大きく上げることができます。
これを理解したうえで、安倍政権の実績を検証しましょう。
2012年以降、生産性年齢人口は617万人も減っているにもかかわらず、就業者数は371万人も増えています。そして、増加した就業者のほとんどが女性と高齢者です。総人口ベースで見ても生産年齢人口ベースで見ても、労働参加率は大きく上昇しています。生産年齢を超えた高齢者の就業が増えたことで、特に生産年齢人口に対する労働参加率が急上昇しています。
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