日本人の「命と健康」は生産性向上でのみ守れる 「アベノミクスの生産性向上」はもう限界だ

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

今回のパンデミックでは「医療崩壊」の危険性が注目されましたが、このまま手をこまぬいていれば、人口減少と高齢化が「社会保障崩壊」をもたらすでしょう。社会保障制度が崩壊すれば、「お金があれば救えたはずの命」が失われます。その命は、もしかしたら今この記事を読んでいるあなたのご両親かもしれませんし、あなた自身かもしれないのです。

では、日本はどう対応すればいいのでしょうか。いまの日本に求められることは、究極的には「生産性の向上」です。GDPは「人間の数×生産性」ですから、社会保障負担を支える生産年齢人口が激減する以上、彼ら1人ひとりが生み出す価値、すなわち生産性を高めなければならないのは道理です。

「アベノミクスの生産性向上」には限界が来ている

2012年に誕生した安倍政権は、上記のような理由を正しく理解し、生産性向上を政策目標に掲げてきました。

日本のマスコミの多くは、現政権の負の部分ばかりにスポットライトを当て、うまくいった成果や功績に関してほとんど報道しません。だから気がついている人は多くはないのですが、実は、アベノミクスは生産性向上にかなり成果を挙げています。ただし、労働生産性はそれほど上がっていません。

この生産性向上の中身を分析すると、大きな転換期が迫っていることがわかります。どういうことか説明するために、「生産性」と「労働生産性」について説明します。

生産性はGDPを総人口で割った数字です。一方、労働生産性はGDPを就業している労働者の数で割ったものです。

生産性=GDP÷総人口
労働生産性=GDP÷就業人口

この2つの生産性のどちらを重視するかは、「何を測りたいか」によって変わります。

「生産性」は、働いている人もそうでない人も含め、国民1人あたりの付加価値ですので、「日本全体の平均的な豊かさ」を測る指標ということができます。一方の「労働生産性」は働いている人1人あたりの付加価値なので、その国の企業がどれだけうまく人を使っているかを測る指標です。

社会保障崩壊を防ぐという目標は、働いていない人も含めた日本全体の問題ですので、ゴールはあくまで「生産性」を高めることです。

次ページ「生産性」を高めるには2つのルートがある
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事