航空機向け炭素繊維、苦節50年の「離陸」

航空機向け炭素繊維、苦節50年の「離陸」

米国ボーイング社の次世代中型旅客機「787」がようやく初の飛行試験を行った。同機の大きな特徴の一つが身にまとった新素材、構造材重量の約50%を占める炭素繊維強化樹脂だ。

これは1959年に当時の通産省工業技術院が発明した軽くて強い“夢の素材”で、東レはじめ日本メーカーが粘り強く開発を続けてきた。

今や世界の約7割を日本勢が供給するが、足元では東レ・帝人・三菱レイヨンの世界3強の状況は芳しくない。どこも増設工場の稼働延期を余儀なくされているほどだ。

世界3強の展望

東レは2006年にボーイング社と独占的長期供給契約を締結、07年に工場を増設している。だが、大型旅客機「777」の減産と787開発の遅延が直撃。10年3月期の炭素繊維分野の営業損益は、償却費負担も影響し80億円の営業赤字に急降下する見通し(前期は84億円の黒字)。

入社時から炭素繊維に携わってきた榊原定征社長は、「スポーツ向けや一般向けも低調」と肩を落とす。11年3月期も厳しい状況は変わらない。

一方、欧州エアバス社を主要顧客とする帝人。大型旅客機「A380」は構造材重量の20%以上が炭素繊維で、その過半を帝人傘下の東邦テナックスが納入している。

ところが「09年夏以降、エアバスから組み立てる機数を引き下げる通知が来ている」(片山隆之・帝人副社長)。炭素繊維分野は09年4~9月期でも営業赤字28億円(前期16億円の黒字)と厳しい。

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