感染拡大「アマゾン倉庫」あまりにお粗末な対策 自らもコロナ陽性になった従業員が語る
アマゾンで国際オペレーションを担当するデイブ・クラークは声明で次のように述べた。「当社は他社の多くに先駆けて、従業員にために広範な感染防止対策を講じてきたし、対策は日々改善していっている」。同氏はまた、AVP1が市中感染率の高い地域にあると指摘。従業員が職場で感染したとは考えていないと述べた。「アマゾンの取り組みは成功していると考えている」(クラーク)。
だが、従業員や地元のリーダーらは、アマゾンが十分な措置を講じていないことを早くから懸念していた。
アマゾンは2月、コロンビア大学の感染症専門家、イアン・リプキン博士に相談し、発熱チェック、ソーシャルディスタンスなどの措置をとるよう助言を受けていた。リプキン博士によると、「アマゾンは最新の科学的知見に基づき、できる限りの対策を行おうとしていた」という。
マスク着用は義務付けられていなかった
にもかかわらず、AVP1では2カ月近くの間、標準的な安全措置のいくつかが慣例化していなかったことが、6人の従業員、地元リーダー、議員への取材でわかった(うち何人かは報復を恐れ、名前を伏せるよう求めた)。
AVP1で発熱チェックが実施されるようになったのは、4月の第1週。シアトル事業所のホワイトカラー労働者にテレワークを命じてから約1カ月後だ。マスクは希望者に配布されたものの、着用は義務ではなかった。休憩室のテーブルは互いに距離を保つように移動されたが、自宅に留まっていた従業員が仕事に戻ると昼食時には混雑した。
従業員から苦情が出たため、アマゾンは4月21日から休憩を1回増やした。ソーシャルメディアの投稿やインタビューで、従業員は徹底的な消毒のために倉庫を一時閉鎖すべきだと主張した。
選挙区内に倉庫のあるタラ・トゥーヒル州議会議員(共和党所属)のもとには、3月末までに従業員から苦情が寄せられるようになっていた。トゥーヒル議員はある従業員の親族からの電話で、アマゾンの清掃員が前日に出勤しなかったこと知らされた。
その2日後には、ある契約社員の母親から「十分な感染予防対策をとるよう(倉庫)に言ってほしい」という陳情があった。この母親のメールには「9人くらいまで感染者が増えているのに、(倉庫は)以前と同じように運営されている」と書かれていた。