感染拡大「アマゾン倉庫」あまりにお粗末な対策 自らもコロナ陽性になった従業員が語る
この頃、アマゾンは新規感染者の数を従業員に知らせていた。従業員の新規感染者は4月4日に4件、4月6日に9件、4月8日に8件となっていた。
4月8日、ある従業員が労働安全衛生局(OSHA)に苦情を申し立てた。「消毒液がなく、自分たちで持ち込むしかない」「ウイルス検査の結果を待っている従業員も働き続けることになっている」という通報だ。
この従業員は「(アマゾンは)世界で最もリッチな企業なのだから、従業員に給与を支払いながら数日間閉鎖することくらいできる」と書いた。感染が広がっていたことから、OSHAはアマゾンに自己調査を要請。その後、感染防止策に関する書面がアマゾンから提出されたのをもって、この苦情は解決済みとされた。
閉鎖を求める署名は1500人分を突破
2本の州間高速道路が交わるヘーズルトンがコロナ感染のホットスポットになると、近隣の大企業に対して閉鎖を求める圧力が高まった。署名活動のプラットフォームサイト「Change.org(チェンジ・ドット・オーグ)」では、アマゾンのAVP1閉鎖を求める署名が数日間で1500人分を突破した。この請願は、AVP1でソーシャルディスタンスを保つのはほぼ不可能、と訴えている。
地元選出のマット・カートライト下院議員(民主党)はオンラインで記者会見を開き、同地域の主要企業3社についてOSHAに調査を依頼したと発表した。ソーシャルディスタンスの問題や保護具の不足を知らされたためだ。カートライト議員は、そのうちの1社がアマゾンだったことを後に認めている。トゥーヒル州議会議員はアマゾンを含む地元の大規模業者に対し、賃金支払いは維持したうえで、事業所を閉鎖するよう求めた。
アマゾンと同じ工業団地内にあるカーギルの食肉加工施設が閉鎖され、900人の従業員に対する2週間分の給与が約束されたことで、圧力はさらに高まった。この施設では100人以上の感染者が出ていた。
アマゾンは4月10日、11件の新規感染が判明したことを公表した。4月13日に確認された新規感染者の数は4人だったが、15日、さらに11人の感染者が出たことが従業員に告げられた。その後、詳細は伝えられなくなり、新規感染者が見つかったとだけ発表されるようになった。