③ 人選の合理性
使用者は、労働者の整理解雇がやむなしと認められる場合にも、被解雇者の選定については、客観的で合理的な基準を設定し、これを公正に適用して行わなければならない。
この点についても、明確な基準が示されている場合は、めったになく、経営者に目をつけられた労働者や経営者の好みなどで対象者が選択されているとしか思えないケースもままみられる。
④ 手続の相当性(労働組合・当事者との協議)
使用者は、労働者に対して整理解雇の必要性とその時期・規模・方法につき納得を得るための説明を行い、当該労働者、
筆者の経験上、のちに解雇が裁判などで争われるようなケースでは、このような手続きをきちんと踏んだうえで整理解雇を行っている会社はまれである。
解雇や雇い止めは簡単にはできない
以上のとおり、解雇、特に整理解雇は法律上簡単にはできないことになっているが、多くの企業においては、割と簡単に解雇が行われているのが実際でもある。
よくある誤解として「解雇予告手当として1カ月分の給料を支払えば解雇ができる」と考えている使用者がしばしばいるが、解雇予告手当を支払ったとしても、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当ではない解雇は権利を濫用したものとして無効になるのであるから解雇予告手当を支払っただけでは解雇は正当化されない。
労働契約が、1年とか6カ月とか期間定めのある労働契約(有期労働契約)の場合、期間満了後に契約を打ち切る「雇い止め」という形で雇用が打ち切られることも、今回の新型コロナウイルスの影響で増加しているといわれている。
しかし、雇い止めに関しても、解雇と同様、自由にできるというわけでもない。
民法上は、契約期間が満了すれば労働契約は当然に終了し、契約を更新するかどうかは当事者の自由に委ねられているが、労働契約法では一定の制限が加えられている。
労働契約法19条は、以下のとおり雇い止め法理を明文化している。
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