「好きを仕事にする」人がだいたい失敗する理由 DaiGo×鈴木祐「キャリア選択」を題に対談
DaiGo:大学のとき、使っていた実験機材が壊れたんですよ、卒論のちょっと前くらいに。今まで1時間くらいで作れていたサンプルに10時間かかるって言われて、そんなん無理じゃないですか。で、いつ直りますかって聞いたら、「(修理費用に)4000万円くらいかかるから君が在学中には無理だよ」って言われて、終わった!と。
だったらもうほかの学部に行くか、学士編入で医学部でも行ってみようかなって。脳とかに興味あったので、医学編入の予備校とか通っていたんですよ! 生まれて初めて予備校通いました、大学院生にして。
鈴木:そんな道も考えてたんですね。
DaiGo:そうだったんですよ。だけどどれも違った。
鈴木:違ったって言うのはどのへんが?
DaiGo:まずね、優秀な人がいっぱいいました。「脳が好きだからそれを仕事に」って思っていたんですけど、直接的に仕事にしようとするとやっぱ現実問題として難しさもあるし、もっと優秀な人いっぱいいるし。あと好きを仕事にしようとしている人って見ているとみんなそうだと思うんだけど、「イメージと違う」っていうのが出てくるんですよ。
鈴木:それは間違いないですね。みんなそれでやめていきますからね。周りに優秀な人が多すぎたってことですか? 結果的に。
DaiGo:そうですね。隣の研究室に、僕と同い年で卒論が『Nature』に載っている人がいた。『Natureなんとか』じゃなくて『Nature』ですよ! 卒論ですよ!? 研究者でもなかなか載らないのに。
「この職業に就きたい」は視野が狭すぎる
DaiGo:やっぱり、やりたい仕事に就こうとすると(こうなる)。人間の「やりたいこと」って想像力によって制限されていると思うんですよ。無限の中から選んでいるならいいんです。でも大体誰かすごい人がいて、その後追い的な感じで「やりたい」になっちゃっているんですよ。
例えば僕を見て「自由に生きたいな」とか、ジョブズとか偉い人を見て「世界変えたい」とか、それくらいのぼんやり感なら僕はいいと思うんです。生きる意味になるんです、それは。だけど「こういう職業に就こう」となると、誰かが成功している職業に就きたがるんですよ。YouTuberがはやったからYouTuberになりたいとか。そうなってくると、先行者がいるからもううまみのある業界でもないんですよ。
先行者利得のなくなっている状態でも突破できるだけのモチベーションがあるのかっていうのと、先行者が取った利得の合間にある、誰も取ってないようなおいしいところをゲットするだけの想像力があるかどうかですよ。
『科学的な適職』に載っている「最初から仕事への情熱がない人のほうが、ある人よりも、幸福度・年収・キャリアなどのレベルが高くなる」っていうデータはそういうことだと思っていて。好きでもない仕事に就いていろんな業界の知識を学んでいくと、「この隙間行ったらけっこういいとこ行けるんじゃ?」みたいなコツが見えてくるじゃないですか。そこが当たって、自分の天職になるっていう感じかなと。感覚的には。
鈴木:確かにね、「1人勝ち市場に参入して省かれて終わる」っていうのはよくありますからね。