【産業天気図・損害保険】保険料収入減少続き終始「雨」、10年は大型再編本格化で生き残り競争熾烈に
09年10月~10年3月 | 10年4月~9月 |
損保業界は2010年10月まで、終始「雨」が続きそうだ。保険料収入の減少が続き、主要各社の業績は厳しい。今後は3メガグループ主導でダイレクト系損保も巻きこみ、熾烈なシェア争いが展開される見通しだ。
10年3月期の中間(9月)決算では、依然自動車保険など保険料収入の減少傾向に歯止めが掛からないことが明らかになった。損害率も引き続き悪化、景気低迷のなかででジリ貧状態が続いている。特に、海上保険は世界的な不況をうけて大幅な減少をみせた。損保9社合計で正味収入保険料は前年同期比約5・3%減少だ。ただ、昨年9月以降のリーマンショック以降、悪化していた運用環境が改善。各社とも有価証券関連の損失が消え、経常損益は大幅に黒字化した。また、今中間期においては想定していた台風などの自然災害がほとんどなかったことも増額要因となった。
それでもなお、10年3月期通期での予想は各社とも慎重な内容だ。最大の要因は、10月に東海地区を中心に日本列島を襲った台風18号の影響による保険金支払いが発生したこと。日本損害保険協会によると、台風18号による保険金支払い見込額は約551億円(史上12番目の支払い額、再保険分を除く)にのぼるとみられ、下期の大きな減額要因となる。
運用環境は通期でも改善が見込まれ、各社の経常黒字転換が期待されるものの、本業の損保事業においては自動車保険など市場規模の縮小と競争激化が続く公算。台風18号以上の大きな自然災害は予想されにくいが、為替の動向が気になるところだ。というのも、海外支店扱いで積まれている支払い備金(保険金支払いのために積む外貨建ての資金)が為替の影響を受けて、円高となれば利益増額要因となるが、逆に円安となると、減額要因になる。