政治家が息子の名前を「一郎」にしたがる理由

「血縁による既得権益」をぶっ壊す唯一の方法

なぜ日本の政治家の名前は「○○一郎」が多いのか?(写真:Fast&Slow/PIXTA)
2019年8月に病のため夭折した京都大学客員准教授の瀧本哲史さん。彼が10代、20代の若者に語った「既得権益を壊し、社会を変える方法」とは? 2012年6月30日、東京大学・伊藤謝恩ホールで行われた“伝説の東大講義”を完全収録した新書『2020年6月30日にまたここで会おう』より一部抜粋・再構成してお届けする。

では、ここにいるみなさんが猿から人間になって、一人ひとりが個人として正しく物事を決められるようになったり、言葉を磨いていければ、それだけで世界が良くなって「はい、メデタシメデタシ」となるかといえば、残念ながら現実は、そうはうまくいかないんですね。

なぜなら、就職とか結婚とか、人生に関する問題のほとんどは個人や個人間だけで決められるんですけど、社会に関する問題は、集合的な意思決定というのが避けられなくてですね、民主主義ではそれを多数決で決めていくしかないからです。

人間ひとりで原発は止められない

たとえば、今まさに大きな社会問題となっている原子力発電の再稼働や、社会保障をどうするかなんて問題は、絶対にひとりの意思では決定できませんよね。

「僕は原子力が大っ嫌いなので、僕だけ原子力発電所を使いません」とか、どう考えても不可能じゃないですか。

社会保障に関しても、少子高齢化がどんどん進んで将来の医療費の負担をどうするか、年金の支給時期やその額をどうするかでずっと騒いでますが、いま60代、70代の人々と、みなさんのような10代、20代の方々では、問題の前提も捉え方も大きく違っているので、価値観や利害が対立して決断困難な状況になるのは、どうしても避けられないわけです。

そうそう、僕と同じ東大出身の若手論客でいちばん有名な方、いるじゃないですか。あの、喋り方がちょっと独特な人(会場笑)。

あの方は超割り切った考え方をされていて、「はい、若者には残念なお知らせがあります。高齢者のほうが圧倒的に多いです。したがって老人がぜんぶ持っていき、みなさんの権利は自動的に剝奪されます。だからもう若者は諦めましょう!」みたいに言っていますが、僕はそういった考えは敗北主義的だと思っていて、ぜんぜん良いと思わないんですね。

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