勝負に勝つために絶対必要な「感覚力」の中身 伝説の勝負師はなぜ2秒で判断できるのか?

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それだけじゃない。相手の打っている様子、姿を見て、その微妙な癖や変化を捉える。あいつは調子が悪くなったなとか、こいつはテンパイが近いなとか、どんな牌を欲しがっているなとか相手の状況を見る。

それと同時に、相手の性格も見分ける必要がある。こいつは攻めには強いけど守りに入るとめっぽう弱い。こいつは威勢はいいけれど気が小さい。こいつは冷静だけど勝負をかけず守りを固める……。

麻雀では小指の動きが大事になる

麻雀は、気づきのゲームだ。膨大でかつ微妙な変化に対してどれだけ気づくことができるか? 

その気づきができるようになるためには、頭を使って考えていては到底対応などできない。自分の中のあらゆる感覚、五感を研ぎ澄ませ、センサーを360度に向けなければならない。そして瞬時に判断して、その変化に対応していく。頭ではなく感覚でなければ無理だろう。

私がやっている競技団体「雀鬼会」の麻雀は、2秒以内にツモって切る。半チャンも15分あれば終わってしまう。普通の人たちから見ると、何も考えず機械のようにツモ切りしているように見えるでしょう。

ところがこの速さでやることで、頭ではなく感覚で判断することができるようになる。また、そうでなければできることじゃない。彼らは2秒という瞬時の合間に、場の流れを読み、相手の動きを察知し、どんな手を目指し、何を切るべきかを判断する。そしてそのように的確に行動する。

2秒以内にツモって切るからには、体と手の動きも重要だ。ムダな動きが入ったらとても2秒では切ることができない。人差し指と薬指で牌の両端を軽く持ち、中指は軽く牌の上に置く。そして切る際に親指を牌の下の先端に引っかけて、くるりと指の中で一回転させて捨てる。

ちなみにその際に重要になるのが小指だ。小指なんて一見何も働いていないように見えるでしょう? 牌を切った後、手と腕を自分のほうに戻す際、小指を内側に巻き込む。すると力を入れずして自然に腕が自分のほうに戻ってくる。しかも次の動きに自然に入りやすい状態になる。だから動き全体がムダなく自然な流れになる。一見働いていないように見えるものほど、実は重要だってことです。

このように、ツモって切るまで2秒。そのわずかな時間で、普通の麻雀をやる人が10秒、20秒考えても追いつかない膨大な情報量を処理しているんだ。それができるのは頭ではなく感覚と体で打つから。だから雀鬼会の道場生たちは普通の子たちに比べてはるかに感性が磨かれ、「気づく」人間になっていく。そして体で反応できる人間になっていく。

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