「不倫を叩く日本人」と「寛容なドイツ人」の大差 ドイツ人が「浮気相手に慰謝料を求めない」訳

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

不倫に限らず、基本的にドイツ人を含むヨーロッパ人の恋愛観は、日本人のそれとは「かなり違う」ことは覚えておいたほうがよさそうです。

ヨーロッパ人は結婚していなくても恋人と家族ぐるみの付き合いをする場合もありますが、実はこれが「別れた後」も続く場合があります。

パートナーと別れたり、配偶者と離婚した後も、「友達」として元配偶者や元恋人と友達づきあいを続けているヨーロッパ人は少なくありません。

「元婿の心配」をするのは当然のこと

筆者の知り合いのドイツ人女性は20年ほど前に日本に住む日本人男性と結婚していましたが、後に離婚しドイツに帰りました。ドイツで新たなパートナーと巡り合い子供もいますが、日本人男性である前夫とはまだFacebookでつながっており、節目には互いのコメントやメッセージを欠かしません。

東日本大震災が起きた際には、そのドイツ人女性の母親が、元婿であるその日本人男性のFacebookに「日本は大変だとニュースで見て心配しています。ドイツに来たらいつでも泊めるので、遊びに来てね」とコメントしていて、ズッコケそうになりました。

ただこれは特にこの母親が変わった感覚の持ち主だというわけではなく、「一度は娘の家族となった人なのだから、災害などの非常事態の際に、元婿の心配をするのは当たり前」ということです。もちろん場合によりますが、別れても困った時には助け合う関係が理想だと考える欧米人は少なくありません。

日本人からしたらビックリするような感覚ですが、このような考え方が根底にあることが理解できれば不倫を応援してしまうドイツ人についてそれほど驚くこともないかもしれません。良いか悪いかは別として、人生観や人間関係に対する考え方が根本的に違うわけです。

不倫は不倫でも、それが過剰に「叩かれる」国がある一方で、「新しい恋」として応援する風潮の国もあるというのは、是非は別として面白いと思いませんか。

サンドラ・ヘフェリン コラムニスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

Sandra Haefelin

ドイツ・ミュンヘン出身。日本歴20年。 日本語とドイツ語の両方が母国語。自身が日独ハーフであることから、「ハーフといじめ問題」「バイリンガル教育について」など、多文化共生をテーマに執筆活動をしている。著書に『ハーフが美人なんて妄想ですから!!』(中公新書ラクレ)、『ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ』(ヒラマツオとの共著/メディアファクトリー)など著書多数。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事