苦境の「スナック」ママたちが飛び込んだ新境地 「オンラインスナック横丁」は定着するか

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こうした中、酒井氏は「オンラインスナック横丁」と呼ぶスナック向けのプラットフォームを利用し、自身の店を”営業”することを決めた。

5月13日にサービスが始まったオンラインスナック横丁には現在、北海道から宮崎まで10店舗が参加。利用者はウェブ上で行きたい店を選び、チケットを購入して入店する。酒の準備とお酌は自分でしなければならないが、自宅にいながらスナックにいる気分を味わい、ママとの会話を楽しむことができる。

「ありのままの姿を見せたい」

料金は「ママと1対1」「グループ貸し切り」「ほかの客と同席」などコースによって異なり、最低金額は1時間2000円となっている。酒井氏の場合、通信環境に不安があるため、現在は「1対1(60分2500円)」の接客に限定している。

スナックのママと言えばミステリアスなイメージがあるが、酒井氏は自室で営業し、ありのままの姿を見せたいという。「スナックのママが実際どんな暮らしをしているのか興味がある人も多いのではないでしょうか」。

酒井氏は一昨年から宣伝のため、自分で動画配信などをしており、オンラインスナックはイメージとしては考えていた。ただ、自分1人で予約や決済のシステムを整えるのは難しいと考えていたところ、オンラインスナック横丁から声がかかった。

「すぐに収入につなげることは難しいかもしれませんが、宣伝や新規顧客の獲得も期待できますし、先行きが見えない中、新しい生活様式に変わっていくことを考えると、オンライン化は求められていることだと思います」(酒井氏)

オンラインスナックの場合、離れた場所に住む人が来店することもできるので、「将来的に旅行や出張ができるようになった時に、実際にお店を訪ねてもらうきっかけにもなる」と期待を寄せる。

酒井氏にとって、まさに「渡りに船」になったオンラインスナック横丁だが、わずか1カ月でサービスを立ち上げるのは容易ではなかった、と横丁を主催する五十嵐真由子氏は話す。本業の傍ら、約500軒のスナックをめぐったスナック愛好家としても活躍する同氏が、サービスの構想を思いついたのは、コロナ禍で多くのママから「なんとかならないだろうか」というメールや電話を多く受けてから。

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