Netflix「愛の不時着」の大ヒットは必然だった

韓流ファンだけではなくアメリカでも高評価

実業家ユン・セリ役のソン・イェジン(画像:Netflixオリジナルシリーズ『愛の不時着』独占配信中)

韓国ドラマのヒット作の1つ『星から来たあなた』を代表作に持つ女性脚本家パク・ジウンの安定感と遊びのあるバランスの取れたキャラクターとストーリー作りも逸品。2人の愛の行方を見届けるべく、1話につき1時間ないし2時間の全16話を「不覚にも完走してしまった」と言いながら、オススメ作品に挙げる人も後を絶ちません。

一方で、『愛の不時着』人気は日本に限ったことだと思う方も多いでしょう。実際にこれまでは韓国ドラマ最大の輸出国は日本であることも事実にあり、日本の配信サービス各社でも韓国コンテンツは1つの人気ジャンルとして確立され、あくまでも韓流ファンの間で熱くヒットしている作品として見られがちです。ただし、これまでの動きと明らかに違いもあるのです。

アメリカの映画評点専門サイト「Rotten Tomatoes(ロッテン・トマト)」では、一般オーディエンスからの評価として「新鮮度指数99%」を記録し、高評価を得ています。ちなみにNetflix日本オリジナルの『全裸監督』は「新鮮度指数96%」の評価です。アメリカの一般紙もこぞって『愛の不時着』を取り上げています。

TIMEは同作をトップバッターに挙げながら「The 10 Best Korean Dramas to Watch on Netflix(Netflixの韓国ドラマベスト10)」を5月12日付で特集し、ワシントン・ポスト紙は4月18日付の記事で「アジアやアメリカでも観客を魅了させているドラマ」と紹介。3人の脱北者にドラマの見解を求めたインタビューコメントも載せるほどの力の入れようです。

興味を持たせるにはパワーワードとも言える北朝鮮を舞台にした点もこのドラマの設定の巧みさとも言えるでしょう。どの国でも興味関心を惹きやすく、ヨーロッパや中東などNetflixで展開されている幅広い世界の地域で今や話題になっています。

世界的ヒットを生み出す韓国の制作スタジオ

人気の勢いが必然的だったと言える理由には、巣ごもり消費の中で景気のよさが目立つNetflix作品であることも大きいでしょう。良作であることを前提に満足度の高さと視聴の機会が増している環境が好循環を生み出しているというわけです。

韓国のケーブルテレビ局tvNで2020年2月16日に放送された最終回は同局最高視聴率をたたき出し、地上波を含む全チャンネルで同時間帯の視聴率1位を記録した後、その翌週の2月23日から全16話がNetflixで一挙配信された経緯があり、配信されたタイミングは世界各地で巣ごもり期間に入り始めたころ。そんな絶妙なタイミングも人気を後押ししています。

ただし、世界ヒットに導いたその作りは偶然によるものだけではありません。制作スタジオは『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』などで知られる韓国を代表するドラマ制作会社スタジオドラゴン(STUDIO DRAGON)です。韓国大手財閥のCJグループの傘下にあり、申し分ない資金力を強みに、世界のエンターテインメント作品と肩を並べようとグローバルヒットドラマを戦略的に作り出している制作スタジオです。

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