福井俊彦・キヤノングローバル戦略研究所理事長(前日本銀行総裁)--アジア最適通貨圏の形成で日本は先導役を演ずべき

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 つまり、国際的な環境対応の枠組みがこの先しっかり作られるとの前提がなければ、個々の企業の計算が成り立ちにくいのですね。国際協力が円滑に進むことが前提にあっての企業努力というわけです。

--そのような世界情勢の中で、日本の果たす役割は。

その議論は極めて不十分だと思います。まずは人口減、少子高齢化、財政負担の大きさなどのハンディキャップを抱えていても、それを克服して自分たちがいかにして強くなるか、潜在成長能力を高めるかという考えが根っこになければならない。そのうえで、これから世界の市場で強い力を発揮する近隣アジアとの相互依存関係を一段と強める。

さらに、日本を含めたアジアの豊富な貯蓄をこれからの経済発展にうまく使えるよう、さまざまなリスクプロファイルを備えたおカネに作り直していく。

そうした過程でどの国の通貨価値が長期的に安定し、使い勝手がいいのかを市場のふるいにかけるようなメカニズムを築き上げていく。アジア全体の最適通貨圏形成に向けて日本にはイニシアティブを取るという役割があるはずだと思っています。

ふくい・としひこ
1958年日本銀行入行。パリ駐在、高松支店長、大阪支店副支店長、調査統計局長、営業局長、総務局長、日銀理事など経て94年に副総裁。98年に退任後、富士通総研理事長など歴任。2003年3月、日銀総裁就任。08年3月退任、同年12月から現職。

(週刊東洋経済)

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