福井俊彦・キヤノングローバル戦略研究所理事長(前日本銀行総裁)--アジア最適通貨圏の形成で日本は先導役を演ずべき

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巨額の債務残高削減へ 国民に道筋を示すべき

--そうした中では、G20などの枠組みが有効に機能すると。

G20は空念仏ではないのですよ。参加国が互いにプレッシャーをかけ合い、各国の金融政策が世界経済全体を視野に入れながら運営されているかどうかチェックされるし、各国は当然、チェックされる前に責任を持って行動しなければならない。何も、自国の利益を犠牲にしろと言っているわけではありませんが。

--日本では税収不足が深刻化する中で、国債発行額の増大など財政面での不安が高まっています。

重要なのはどのような財政支出にせよ、それが日本の将来設計にきちんと位置づけられているかどうか、ということです。政府の支出行動が日本の将来にとって本当によいかどうか、国民はいつも心配しています。

日本は先進国の中では公的部門の債務残高が最大。それゆえ、支出を増やす場合には、その使途の位置づけと将来、公的部門の債務残高をいかに減らすかというプログラムを示し、その是非を国民に対して正直に問うことも非常に大事なのです。

財政出動さえあれば、国民の支出を促すことができるのか。国民は自分の将来の所得がどうなるか、つまり、恒常所得を読みながら支出をします。それに、政府の借金が将来どうなるのかという心配があるうちは、単純におカネを使おう、とはならないのではないでしょうか。

公的部門の赤字は将来、民間部門が生み出すキャッシュフローを使いながら消すことになる。その分、民間の新規の投資に振り向けることができなくなるので、借金残高の大きい国ほど、将来の潜在成長能力に制約が加わる可能性があるわけです。

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