休校中に「英語力が伸びる子」がやっていること 自宅にいるからこそできる学習方法がある

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この作品は25か国語に訳されているそうで、その後、彼女は次々に25か国語で歌われる主題歌も、YouTubeを見て歌えるようになったそうです。これこそ「好きこそものの上手なれ」の見本のような話です。

子どもが英語をたくさん聞くには、好きな時に聞くことができるといった環境も必要です。子どもが手に取れるところにCDなどの音源がある、タブレットなどを使うことができるといった配慮も必要となってきます。

子どもが「英語で歌いたい」「英語を話してみたい」と思うことこそが、学びの原動力です。子どもの心が動いて学んでいるということが、新しい学習指導要領でも言われている「アクティブラーニング」そのものなのです。

不安感が強い中での「読み聞かせ」の効果

さて、この時期、私がもうひとつお勧めしたいのは、親子での絵本の読み聞かせです。

大人の不安が子どもたちにも伝わりつつあるようです。「いつになったら自由に外に出られるの?」「学校はいつ始まるの?」というように子どもも先行きに不安を感じつつあります。屋外に出られないことなどで、子どもも親もストレスがたまりがちです。そんなときに子どもの心を落ち着かせるのにも、親子での絵本の読み聞かせは効果があります。

以前、阪神・淡路大震災のときに、余震が続き、インフラが止まって暗い中でも、絵本を読むと落ち着いたという親子の話を聞いたことがあります。そのようなときにでも絵本は子どもの心を満足させることができるのです。

登場人物と一緒になって新しい出会いをしたり、冒険したりすることによって子どもの心は満たされ、落ち着くことができます。ましてや大好きな親がそばで読んでくれたのなら、それ以上の喜びはないでしょう。自分を守ってくれる親の声に耳を澄ますだけでも、子どもの心が安らぐことでしょう。

絵本のなかで日常にない出来事や、普段は使わない言葉など、豊かな言語体験をすることができます。学校や幼稚園、保育園が休みで、先生や仲間との言語コミュニケーションができない中、自宅で親子で絵本を読んでみてはいかがでしょうか。そのように幼い時期に、親子で豊かに母語でコミュニケーションすることこそが、子どもを健やかに育み、やがては英語でのコミュニケーションにつながるのです。

木原 竜平 ラボ教育センター 教育事業局長

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きはら りゅうへい / Ryuhei Kihara

1987年、筑波大学卒業、ラボ教育センター入社。東京、名古屋、大阪にて営業、指導者研修を担当。2002年より東京本社にて、外国語習得、言語発達、異文化理解教育について専門家を交えての研究に携わる。日本発達心理学会会員。日本子育て学会会員。ラボ・パーティは1966年「ことばがこどもの未来をつくる」をスローガンに発足し、2016年に50周年を迎えた子ども英語教育のパイオニア的存在。
 

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